研究課題/領域番号 |
17K15654
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
松本 俊英 北里大学, 医学部, 講師 (10623184)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 卵巣明細胞癌 / Lefty / EMT / CSC / ショットガンプロテオミクス |
研究実績の概要 |
平成31年度は、卵巣明細胞癌におけるLefty発現制御機構を明らかにするため、卵巣明細胞癌細胞株TOV-21Gを用いたin vitro解析と、臨床検体を用いたEMT化およびがん幹細胞化との関連性を検討した。 前年度作成したLeftyノックダウン系より、Akt/GSK-3βシグナル系が活性化していることを見出した。そこで、TOV-21G細胞をTGF-β刺激すると、Lefty発現亢進とともに活性型(p-)Aktが上昇し、PI3K/Aktシグナル阻害剤であるRapamycinにより、その効果は抑制された。また、Akt活性となるリン酸型(p-)GSK-3βをLiClにより誘導すると、Lefty発現の亢進とともに、EMTマーカーであるSnailの発現が亢進された。以上より、卵巣明細胞癌におけるLefty発現は、非Smad2依存的なAkt/GSK-3β/Snailシグナル系が存在することが考えられた。 さらに臨床検体を用いた検討することより、Lefty発現が高い群においては、間葉系マーカーであるvimentinの発現が有意に高く、がん幹細胞マーカーであるALDH1やSox2も高発現となる傾向がみられた。 今後、Lefty/Akt/GSK-3β/Snailシグナルを阻害することによる、抗癌剤感受性への影響や予後との評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究におけるLefty発現制御機構の詳細な検討、特にSmad2非依存型のシグナル系を明らかにすることができた。その結果、新たな研究へ展開出来たため、当初の予定より少し遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
卵巣明細胞癌における新規治療法開発の分子基盤構築を目指し、Lefty/Akt/GSK-3β/Snailシグナル系の阻害剤を見出し、細胞動態や予後への影響を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
Lefty発現制御機構の詳細な検討をした結果、新たなシグナル系への研究展開となった。次年度はその阻害剤を用いた検討を行う予定である。
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