2020年度は卵巣明細胞癌におけるLEFTY/Akt/GSK-3β/SnailによるEMT化促進及びCSC化誘導を詳細に解析した。 OVISE培養細胞を用いて、TGF-β処理の結果、LEFTY高発現とともにpSmad2、pAkt、pGSK-3β発現亢進を認め、RapamycinによるAkt活性阻害によりその発現は制御された。この現象はタンパク質レベルにおける変化であり、mRNAレベルでは検出されなかった。さらに、LiCl処理によりGSK-3β不活化によりSnail発現が亢進された。さらにluciferase assayにより、Snail promoter活性はTGF-β刺激により亢進した。 次に、病理検体を用いた免疫染色結果により、LEFTY高発現群ではVimentinが有意に高く、ALDH1及びSox2発現も増加傾向にあった。 以上の研究成果より、LEFTYはTGF-βを起点として発現が亢進し、Akt/GSK-3βシグナルを介してSnailの安定化に繋がり、結果としてEMT/CSC化に寄与していることが考えられ、卵巣明細胞癌化学療法耐性能獲得に関与していることが示唆された。
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