研究課題
申請者らは多数の顆粒球肉腫(Myeloid sarcoma:MS)症例の臨床病態・病理組織・免疫表現型・細胞遺伝学的異常・予後因子についての統計学的解析・検討をおこなうことによって、MSの免疫表現形質の特徴、臨床病理学的な分類を提唱し骨髄異形成症候群(MDS)/骨髄増殖性疾患(MPN)からのMS発症と、腫瘍細胞におけるCXCR4蛋白発現が予後不良因子となることを報告した。検討したMS症例のうち、孤発性発症と急性骨髄性白血病(AML)同時発症例については一般的な de novo AMLと比較して予後不良であることが示唆され、髄外への分子生物学的進展機構を解明することでMSやAMLの治療標的となる可能性がありさらに予後の改善が期待された。以上より、AML細胞の髄外への進展機構の解明のために、髄外腫瘤病変の芽球と末梢血の芽球の遺伝子学的異常パターン、それによる蛋白発現のパターンを比較することによって髄外腫瘤病変を形成する腫瘍細胞に特徴的な異常がないかを検討し、AMLの髄外発症の分子病理学的背景の解明をおこなった。その結果、孤発性MSからAMLへと進展した3症例についてMS病変の芽球と末梢血芽球に対してoligo-array comparative genomic hybridization (aCGH) による網羅的遺伝子発現解析(Gene expression profiling: GEP)を施行したところ、CCR7 pathway とCXCR4 pathwayが関わっている可能性が示唆された。顆粒球肉腫症例に対してCCR7染色をおこなったところ、CCR7発現は予後と関連があることが示唆された。またCXCR4変異解析とCCR7変異解析をおこなったところ、やはり予後関連がありAML髄外腫瘤形成に関わる可能性が示唆された。
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Hematological Oncology
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10.1002/hon.2506.