研究実績の概要 |
多施設から得られたメトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(methotrexate associated lymphoproliferative disorder: MTX-LPD)患者のホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いて、免疫染色(CD20, CD15, CD30, CD79a,LMP-1,EBNA2等)およびRNA in situ によるEpstein-Barr ウィルス感染細胞の同定を行い、病理組織学的特徴からMTX-LPD症例を6つの組織型に分類した。さらに頻度の高い①反応性型(RH)②多形型(Poly-LPD)③びまん性大細胞B細胞リンパ腫(DLBCL)型④古典的ホジキンリンパ腫型(CHL)症例の臨床病理学的特徴を比較した結果、各組織型の症例間で多数の特徴が有意に異なっていた。またMTX中止後から化学療法施行時までの期間はRH, Poly-LPD, DLBCL, CHL症例の順に予後良好であった。一方でこれら4つのいずれの組織症例間で生存期間に有意差を認めなかった。またPoly-LPD,DLBCL,CHLの各組織型で予後因子を同定した。 本研究から関節リウマチ患者などで発症するMTX-LPDでは組織分類および各組織型での予後因子がMTX中止後の病勢予測に有効である事が示唆された。 これらの結果は2017年12月に米国アトランタで開催された第59回米国血液学会年次総会で発表した。
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次年度使用額が生じた理由 |
29年度に予定していた免疫染色の一部(各転写因子(TBX1,GATA3,FOXP3等)および免疫チェックポイントに関与するタンパク質(PDL1,PDL2,CTLA-4等))、免疫グロブリンおよびT細胞受容体の遺伝子再構成の評価、治療前後の患者血液中のEBV コピー数の調査、および一部の症例でのEBV in situ hybridizationの解析が所属研究機関の異動のため準備に時間を要し施行出来なかった。これらの解析は30年度施行予定である。また免疫染色およびEBV in situ hybridizationで得られた画像をLeica社の画像解析ソフト(Aperio Image Scope)を用いて客観性・再現性の高い方法で解析する予定である。 さらに上記予定している解析の結果を含めこれまでに得られた結果を論文発表する予定である。
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