研究課題/領域番号 |
17K15658
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
栗田 大輔 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教務補佐員 (70790294)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | リンパ増殖性疾患 / 悪性リンパ腫 / 臨床病理学的解析 / EBウイルス |
研究実績の概要 |
多施設より得られたメソトレキサート関連リンパ増殖性疾患(methotrexate-associated lymphoproliferative disorder: MTX-LPD)患者の臨床検体(ホルマリン固定パラフィン包埋切片)および臨床情報を統計学的解析し、特徴的な組織像に対応した臨床所見を見出し、MTX-LPDの各組織型の診断基準を確立した。さらに頻度の高い①反応性型(RH)②多形型(Poly-LPD)③びまん性大細胞B細胞リンパ腫(DLBCL)型④古典的ホジキンリンパ腫型(CHL)症例の統計学的解析では各組織型間で多数の臨床病理学的特徴およびメソトレセート中止後の病勢が有意に異なっており、さらに各組織型のMTX中止後の病勢予測因子を複数同定した。免疫染色およびEBV in situ hybridizationで得られた画像をLeica社の画像解析ソフト(Aperio Image Scope)を用いて客観性・再現性の高い方法で解析し、EBV陽性細胞数がRH・Poly-LPD間で、腫瘍細胞におけるEBV陽性率がDLBCL・CHL間で有意に異なってた事を見出した。またDLBCLにおいてEBV感染・非感染症例間で節外病変・壊死の有無を含め多数の臨床病理学的特徴が有意に異なっていた。これらの結果を第58回リンパ網内系学会総会発表し、優秀演題口演として選出された。現在論文化が進行中である。一方で、患者血液中のEBVコピー数の評価は症例収集不足のため解析が進まず、MTX-LPD発症リスク因子の同定は行えなかった。今後は得られた結果をさらに発展させ、確立したMTX-LPDの各組織型の分子学的特徴を明らかにするため、当初予定していた解析に加えてホルマリン固定パラフィン包埋切片に対して新たな免疫組織化学染色およびnCounter Analysis System (NanoString Technologies)を用いた遺伝子発現解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床情報を伴う多数の症例集積が進み、論文化が進行中。
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今後の研究の推進方策 |
確立したMTX-LPDの各組織型の分子学的特徴を明らかにするため、当初予定していた解析に加えてホルマリン固定パラフィン包埋切片に対して新たな免疫組織化学染色およびnCounter Analysis System (NanoString Technologies)を用いた遺伝子発現解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
収集した臨床検体・臨床情報よりメソトレキサート関連リンパ増殖性疾患の臨床病理学的特徴を解析し各組織型を確立した。さらにこれら確立した組織型ではメソトレセート中止後の病勢が有意に異なっていた事を国内外の学会で発表した。これらの結果をさらに発展させ、確立した組織型の分子学的特徴を明らかにするため、当初予定していた解析に加えて新たな免疫組織化学染色および遺伝子解析を行うため。
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