研究課題
マウスの皮膚をモデルとして用い、環境因子がどのように組織維持に影響を与えるかの研究を行った。マウスの毛包は加齢によりその数が半分程度まで減少するが、本研究ではこの現象が肥満によって促進されることが分かった。網羅解析や遺伝子改変マウスなどを用いた解析により、肥満による脱毛の直接的な原因としては、毛包幹細胞が表皮角化細胞に運命が変わることであることがわかった。加齢においても同様の現象が見られるが、分子メカニズムとしては加齢と肥満による脱毛では大きく違っていることがわかった。肥満による脱毛のメカニズムとしては、肥満による毛包の環境変化、特に脂質の蓄積、IL1Rシグナルの活性化、酸化ダメージの上昇によるShhシグナルの不活性化によるものであることが明らかになった。特にIL1Rシグナルは活性化すれば単独で脱毛を引き起こすことも明らかになった。また直接のIL1bたんぱく質の投与によってもShhシグナルが減少することもわかった。興味深いことに、IL1bたんぱく質によるShhシグナルの減少はどの週齢でも見られたが、IL1bの下流であるcox2の減少に関しては、加齢マウスによってのみ観察された。若いマウスでは何らかの抵抗システムが働いたと考えられている。肥満による脱毛には複数の原因が関与してるものの、Shhシグナルの活性化で肥満による脱毛は抑制できることから、Shhシグナルが中心的な原因であることもわかった。本年度は特に様々なリバイス用の実験を行い、例えば脂質による好気呼吸の上昇が酸化ストレスの原因であることを示唆された。これらの結果は2019年にNatureに投稿していたが、本年度にin pressの状態にはなっている。
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Nature
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