研究課題/領域番号 |
17K15678
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
長岡 ひかる 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 研究員 (10757222)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マラリア / ワクチン / 増殖阻害試験 / 赤血球結合試験 |
研究実績の概要 |
研究申請者らは、熱帯熱マラリア原虫の赤血球侵入型であるメロゾイト期に発現するGAMAおよびMSP10分子に着目して、赤血球侵入におけるGAMA-MSP10相互作用の生理的役割を明らかにすることを目的として研究を進めている。 まず当初の計画通り、本研究室で保有していた対象分子のトランケート抗体を用いて、原虫抗原に対する反応性の確認をウェスタンブロットによって行ったところ、全ての抗体が原虫ライセート内の抗原を特異的に認識した。さらに30年度に予定していた作製抗体を利用した各トランケート抗体の増殖阻害活性の測定実験も順調に終了し、GAMA分子ではC末端側に位置する領域、MSP10分子ではN末端側に位置する領域に侵入阻害活性が認められ、両分子が赤血球侵入になんらかの形で関与してすることが確認された。続いて、これらの特定領域の赤血球侵入における作用機構を明らかにするため、対象分子の赤血球結合試験を試みた。赤血球結合試験の手法は既報の文献を参考にし、コムギ無細胞タンパク質合成系で作成した組換えタンパク質を用い、酵素処理および酵素未処理の赤血球で行った。その結果、両分子ともに赤血球結合能が確認されたとともに、シアル酸非依存の様式で赤血球表面に結合することが示唆された。 また当初の計画では、29年度に抗体を用いて2分子間の相互作用領域の解析をBiacoreで行うことを予定していたが、作成した抗体がポリクローナル抗体であったため、非特異的な結合が確認されてしまった。そこで、抗体を作製した抗原を用いて抗体の精製を試み、再度、相互作用阻害実験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、計画していた実験予定に加えて追加実験も進行させることができた。 また、Biacoreを用いた相互作用阻害実験に関しては、ポリクローナル抗体の精製を行うことにより、抗原特異的な抗体を精製した後に、再度、試みることとした。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に、両分子中のメロゾイトの赤血球侵入に重要な領域の特定はおおむね終了した。今後は特定領域に着目して生理活性試験を試みることで、赤血球侵入におけるGAMA-MSP10相互作用の生理的役割を明らかにすることを目指し、研究を進める予定である。
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