研究課題/領域番号 |
17K15679
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
城戸 康年 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (90511395)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | トリパノソーマ / Alternative Oxidase / アスコフラノン / シアン耐性酸素呼吸 / 顧みられない熱帯病 / 薬剤開発 |
研究実績の概要 |
Trypanosoma bruceiが宿主血流中で生存するために必須であるミトコンドリア内膜に存在する末端酸化酵素Trypanosome alternative oxidase (TAO)と、その特異的阻害剤アスコフラノン(AF)との相互作用、TAOの生化学的解析や生理的意義を解明してきた。AFは微生物由来のメロテルペノイド化合物である。本研究では、AF生合成の全容解明と、全合成経路でのAF前駆体の抗トリパノソーマ活性など寄生虫学的評価を行い、基礎研究に基づいた薬剤開発基盤の確立を目的としている。AF生合成経路の解明と、生合成経路の解明で明らかになるAF生合成前駆体の薬理学的評価を行うことで、AF関連天然物群とTAOの相互作用を解明する。AF産生菌のゲノム解析から得られた情報を用いて、AF生合成に関わる8つの遺伝子から構成される遺伝子群を同定できた。この予測生合成経路とその中間代謝物の化学構造と、8つの遺伝子群の情報に基づいて、遺伝子再構成法のアプローチにより、AF生合成経路中の中間体をすべて同定でき、本年度はすべての生合成経路が解明できた。AFだけではなく、その副産物であるアスコクロリンも含めた生合成経路が明らかとなった。生合成経路は、共通の前駆体から特異な酸化酵素とテルペン環化酵素によって二つの生合成系が分岐する経路だった。さらに、この中間代謝物も強い抗トリパノソーマ活性を有することがわかり、慢性期の感染動物モデルに対してもこの中間代謝物は有効であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
アスコフラノンおよび副生成物であるアスコクロリンを含め、すべての生合成経路が解明できた。また、中間代謝物も強い抗トリパノソーマ活性を有することが明かとなった。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子改変などにより有望な中間代謝物の大量合成を試みる。また、解明した生合成経路が他の生物群でも機能しているかを調査し、有用微生物群を見出すことにも貢献できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究対象の生合成経路を、他の天然物を含めて完全に解明することができ、当初計画していた以上の成果をあげることができた。 現在、その成果の論文投稿の改訂作業中であり、追加研究の実施が必要のため。 追加の研究に必要な試薬を主に購入する予定である。
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