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2018 年度 実施状況報告書

マダニ体内での効率的な感染に関与すると考えられるボレリア菌保有因子の分子機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K15685
研究機関山口大学

研究代表者

高野 愛  山口大学, 共同獣医学部, 准教授 (90700055)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードマダニ / ボレリア菌
研究実績の概要

本研究では、マダニによる病原体の維持機構を分子レベルで解明することを最終目標に、まずはマダニ媒介性感染症病原体であるボレリア菌のマダニ体内における維持機構を明らかにすることを目的としている。具体的には、マダニ媒介性病原体の1つである回帰熱群ボレリア菌のゲノム上に特異的に見いだされ、菌がマダニ感染中に特に発現が上昇している複数の遺伝子群の機能解析を行うことを目的としている。
本研究では、他のボレリア群細菌と比較し、未吸血マダニの全身に感染していることが明らかとなっている回帰熱群ボレリア菌と、逆に腸管に限局して感染しているライム病群ボレリア菌を比較することで解析を行なっている。具体的には、ライム病群ボレリアの1種であるB. burgdorferi B31株(腸管感染群)へ回帰熱群ボレリアであるB.duttonii(全身感染群)が保有する21候補遺伝子を導入し、軟ダニ体内での生存の有無を解析している。
本年度は、昨年度に引き続き個別の遺伝子導入株の人工接種を継続して行なうと同時に、複数の遺伝子をランダムに導入した株を用いたin vivoスクリーニングを行なった。その結果、単独1遺伝子導入株では明確な生存率の上昇がみられなかった一方、複数の遺伝子をランダムに導入した株を用いたスクリーニングにより、全身感染群とほぼ同等の生存率を示す群が得られた。このため、高い生存率を示した群より分離した複数株についてそれぞれ発現している遺伝子をリアルタイムPCRで解析を行なった。その結果、21候補遺伝子のうち、5遺伝子を保有している株で生存率が高い傾向が見られたため、形質転換用プラスミド上に5遺伝子全てを導入した株を作成し、現在、人工接種実験を行なっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

単独1遺伝子導入株で形質が得られない可能性が高かったため、当初の計画から一部変更し、複数遺伝子をランダムに導入した株を用いたin vivoスクリーニングを行なった。その結果、陽性コントロールである全身感染群とほぼ同等の表現系を持つ群が得られたため、候補遺伝子を絞ることができている。本菌は増殖が遅いため、形質転換株を得るまでに時間がかかることから、複数の候補遺伝子の解析を同時に行うことで概ね順調に進展できている。

今後の研究の推進方策

平成31年度に得られたin vivoスクリーニングの結果を踏まえ、複数候補遺伝子のさらなる絞り込みを行う予定である。特に、現時点で候補となっている5、6遺伝子のうち、どの遺伝子が責任遺伝子となるのか、その同定を行うと同時に当該遺伝子の機能解析を予定している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 野鳥が保有するライム病ボレリア菌のMLSA解析.2018

    • 著者名/発表者名
      高野 愛,石原 翔,南 昌平,仲村 昇,出口智広,下田 宙,前田 健.
    • 学会等名
      第161回日本獣医学会学術集会.
  • [学会発表] 動物が保有するマダニ媒介感染症.2018

    • 著者名/発表者名
      高野 愛,野口慧多,前田 健.
    • 学会等名
      第73日本衛生動物学会西日本支部大会.
    • 招待講演

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公開日: 2019-12-27  

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