研究課題
昨年度において、ヒト血液から調整した好中球にC. glabrata野生株またはマイトファジー欠損株を貪食させ、貪食細胞内での生存率を比較したところ、マイトファジー欠損株は野生株と比べて有意に生存率が低い事が明らかとなった。今年度は、好中球細胞内における鉄欠乏ストレスや酸化ストレスがマイトファジー欠損株の生存率を低めているとの仮説のもと、貪食前に好中球を鉄溶液またはMyeloperoxidase inhibitorで処理し、C. glabrataおよびマイトファジー欠損株の貪食細胞内での生存率を比較した。鉄処理後の好中球を用いた場合、鉄処理なしの好中球と同様にマイトファジー欠損株の生存率は野生株と比べて有意に低かったが、Myeloperoxidase inhibitor処理後の好中球の場合はマイトファジー欠損株の生存率が高まり、野生株と同程度であった。また、野生株とマイトファジー欠損株の過酸化水素存在下での生存率を比較すると、マイトファジー欠損株では野生株と比べて生存率の低下が顕著であり、マイトファジー欠損株は酸化ストレス感受性が高いことが明らかになった。好中球に貪食されたC. glabrataでは、マイトファジー遺伝子ATG32の発現量が顕著に増加しており、貪食細胞内におけるマイトファジー活性化が予想された。貪食細胞内でのマイトファジー活性を測定するために様々な方法を検討、実施したが、今のところ測定できていない。ミトコンドリア形態の顕微鏡観察から好中球内でのマイトファジー活性化が予想される像を認めたが、再現性に乏しく、実験条件を再検討している。
3: やや遅れている
今年度予定していた実験の一部が未実施であるため、研究期間を1年間延長した。
今年度は2019年度に予定していた実験を行う予定。
2019年度目に計画していた実験を2020年度に行うよう計画変更した関係で残額が生じた。2020年度に残りの実験を行う予定である。
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