研究実績の概要 |
我々はこれまでに、気管支喘息マウスモデルを用い、RNA結合タンパク質Mex-3BがIL-33の発現を直接促進することによって気道炎症を引き起こしていることを見出している。加えて、Mex-3Bに対するアンチセンス核酸の噴霧・吸入により気道におけるMex-3Bの発現を抑制することで、気道炎症を抑制できることも明らかにした(Yamazumi et al., 2016 Cell Reports)。さらに最近我々は、Mex-3B欠損マウスにおいてステロイド耐性気管支喘息の発症も抑制されることを見出した。本研究では、1)Mex-3Bはどのような分子機構でステロイド耐性気管支喘息の発症を制御しているのか、2)Mex-3Bを標的としたアンチセンス核酸はステロイド耐性気管支喘息の治療薬の候補となりうるのか、の2点を明らかにすることを目的として研究を進めてきた。 1)に関しては、Mex-3BがCXCL2、IL-1β、TNF-α、IL-17などのサイトカインの発現量を制御することで炎症を制御していることが明らかになった。その中でもCXCL2に関しては、Mex-3BがCXCL2のmRNAに結合し、転写後制御機構によって発現を制御していることが明らかになった。 2)に関しては、Mex-3B欠損マウスで気道抵抗性の改善が認められた。この結果から、Mex-3Bに対するアンチセンス核酸の吸入が気道過敏性の改善にも寄与しうる可能性が示唆された。
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