研究課題
本研究では、T細胞受容体(T-cell receptor, 以下TCRと略)シグナル分子について、制御性T細胞における特異的な分子制御の解明を目的とした。TCR刺激により誘導されるTCRシグナルは、通常のT細胞を活性化し増殖させるのに対し、制御性T細胞は増殖せず前者の活性・増殖を抑制することから、両者におけるTCRシグナル伝達の制御機構は異なると考えられる。また、TCRシグナル制御の違いは、両者の免疫学的機能を弁別するメカニズムとしても重要であると考えられる。平成30年度は、特に、通常のCD4+ T細胞、CD8+ T細胞、制御性T細胞に発現されるTCRシグナル分子について、転写発現レベルに加えタンパクレベルでの発現や分子修飾の差異を解析した。制御性T細胞は通常T細胞に比して、一部のTCRシグナル分子のリン酸化レベルが恒常的に低く、制御性T細胞に特異的なTCRシグナル分子抑制が示唆された。さらに、これら制御性T細胞で特異的な制御をうけるTCRシグナル分子は、制御性T細胞の維持あるいはその機能を選択的にコントロールする上で重要な標的になると考えられ、遺伝子改変や低分子阻害剤により試験管内および自己免疫病や腫瘍などの疾患モデルマウスにおける効果を検証した。制御性T細胞は、これらのTCRシグナル分子の操作に感受性が高く、他のナイーブ・活性化T細胞に比して選択的に影響されることを明らかにした。
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