平成29年度ではIL-22BP欠損マウスにおける尋常性乾癬の病勢について比較検討した。具体的には野生型(WT)マウス、IL-22BP欠損マウスの耳介にイミキモド(ベセルナクリーム5%; IMQ)を8日間塗布し尋常性乾癬を発症させ、耳介の紅斑、腫脹、脱落乾燥表皮を経日的に測定した。また、IMQ塗布前後に耳介、所属リンパ節を採取し、定量的PCR法にて病態局所のサイトカイン、ケモカインの遺伝子発現を測定した。さらに、IMQ塗布8日目に耳介を採取し、病理組織解析を用いて皮膚炎症及び皮膚病変部でのケラチノサイト増殖を評価した。 その結果、WTマウスと比較して、IL-22BP欠損マウスではIMQの塗布による耳介の紅斑、腫脹、脱落乾燥表皮が著しく増強していた。さらに、IL-22BP欠損マウスでは病態局所のサイトカインやケモカインの遺伝子発現もWTマウスと比較し増強していた。一方、H&E染色によりIL-22BP欠損マウスでは表皮層肥厚や白血球浸潤で示される皮膚炎症がWTマウスと比較して顕著であった。また、PCNA (proliferating cell nuclear antigen)の免疫染色の結果、IL-22BP欠損マウスにおいて皮膚病変部でのケラチノサイト増殖もWTマウスと比較して亢進していた。 以上の結果から、IL-22BP欠損マウスでは尋常性乾癬の病勢が増悪することが考えられた。
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