令和元年度ではILー22BPを標的とした新規免疫療法の可能性を検討するために、尋常性乾癬に対するILー22BPの防御効果を可溶型ILー22BPーヒトIgFcキメラ分子用いて評価した。具体的には、IMQ誘導性尋常性乾癬発症WTマウスに可溶型ILー22BPーヒトIgFcキメラ分子を耳介皮膚内に投与した。また、対照群にはヒトIgFcキメラ分子を同様に投与した。その後、IMQ塗布8日目に尋常性乾癬の病勢とともに皮膚病変局所について、サイトカイン(ILー1b、ILー17A、ILー19、ILー22、ILー24)、抗菌ペプチド(S100a7)、皮膚角化細胞終末分化マーカー(Krt10)産生を比較検討した。 その結果、ヒトIgFcキメラ分子投与群と比較して可溶型ILー22BPーヒトIgFcキメラ分子投与群ではIMQ塗布による耳介の紅斑、腫脹、脱落乾燥表皮が著しく減弱した。さらに、可溶型ILー22BPーヒトIgFcキメラ分子投与群ではサイトカイン、抗菌ペプチド産生の減弱を認めた。一方、ヒトIgFcキメラ分子投与群ではIMQ塗布により、皮膚角化細胞終末分化マーカー産生が著しく減弱したが、可溶型ILー22BPーヒトIgFcキメラ分子投与群では健常マウスと同程度の皮膚角化細胞終末分化マーカー産生が認められた。 以上の結果から、ILー22BPは皮膚角化細胞の異常分化の抑制とともに炎症性サイトカイン、抗菌ペプチド産生の抑制を介して尋常性乾癬の病勢防御効果を示すことが考えられた。また、尋常性乾癬に対するILー22シグナル阻害を介したILー22BP治療の有効性が示唆された。
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