LysMドメインは、キチンやペプチドグリカンなどのN-アセチルグルコサミンを含む糖に結合するドメインであり、in silicoの解析で、マウスのゲノム中からそれを有するタンパク質を4種類同定し、昨年度、そのタンパク質とキチン、ペプチドグリカンの結合アッセイを行っていた。 今年度は、そのタンパク質の免疫応答における機能解析を行った。LysM domain protein (LMP1-4)4種類の内、LMP1とLMP2に着目して、マウスマクロファージ細胞株RAW264.7でLMP1、2をGFPに融合させて局在を調べたところ、これらのタンパク質は、細胞質に局在することがわかった。10 μm以下の小さなキチンは貪食されて、細胞内のTLR9、NOD2によって認識され炎症性サイトカインを産生することから、その際のLMP1、LMP2の関与を調べた。昨年度、LMP1はキチン、LMP2はペプチドグリカンに結合することをそれぞれ見出していたが、キチンと結合するLMP1-GFPを過剰発現させたRAW264.7細胞では、キチン刺激によるIL-6の産生が有意に低下することを見出した。またCRISPR-Cas9法によってLMP1を欠損させると、逆にIL-6の産生が上昇した。このことから、LMP1は、キチンを認識し、それによって誘導される免疫応答を抑制することが示唆された。
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