研究課題/領域番号 |
17K15741
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
今福 輪太郎 岐阜大学, 医学部, 助教 (40649802)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 医科歯科連携 / 多職種連携教育 / チームワーク / 質的研究手法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、医科歯科連携医療およびその教育の実態を調査し、多職種連携の促進・阻害要因を明らかにすることにある。平成29年度は、文献調査により連携の阻害要因を1)組織レベル、2)チーム・対人レベル、3)個人レベルに分類し、特定した。その枠組みをもとに、予備調査の計画を立て、卒前教育の学習者に対して質問紙調査およびインタビュー調査を実施した。具体的には、臨床実習を終えた歯科衛生士学生90名に対して「医科歯科連携に対する態度と気づきの質問紙票(Zhangら, 2015)」を用いた意識調査を実施し、連携の重要性を認識しつつも、その連携推進の難しさを実感していることを明らかにした。また、無作為抽出した歯科衛生士学生8名に対してインタビュー調査を実施し、「専門領域ごとの言葉の理解」「他職種との力関係」「他職種との方針の違い」「他職種の役割の理解」など、連携推進の障壁に関するカテゴリーを抽出することができた。医学生へのインタビュー調査も開始しており、平成30年度までに10名のデータ収集を予定している。今後、看護学生と歯科学生へのインタビューも行い、卒前教育における各専門職学生の認識(差)を明らかにし、教育的示唆を提供できるようにする。また、卒前多職種連携教育における初年次学生の1年間のポートフォリオ解析の研究成果を国際誌に掲載し、長期的教育効果をチーム・チームワークの観点から考察することができた。また、大学病院で医科歯科連携に取り組む歯科衛生士が有するプロフェッショナリズムの特徴を記述し、連携教育への提言をすることもできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に計画していた文献調査および卒前教育における研究課題は予定通り実施されており、本調査結果は、第50回日本医学教育学会大会で発表予定である。また、研究成果の一部は論文掲載することもできた。今後は卒後の医療従事者へのデータ収集を実施していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
より幅広い専門職の学習者および医療従事者からのデータ収集を実施するためには、今後も多施設の研究協力体制をさらに充実させる。特に、その研究協力体制の中で卒後の医療従事者へのインタビュー調査は今後積み重ねていく必要がある。連携に対する認識や難しさ、およびチーム体制の形成過程について、随時質的解析を行ない、研究成果を発表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査が年度をまたぎ、その文字おこしの依頼が遅れたため。研究課題の進展は順調であり、予算の執行状況に大きな問題はないと考える。使用計画としては、2017年度に引き続き、インタビュー調査やフィールドワークに関わる旅費、質的データの文字おこしやデータ入力のための費用、データ管理・解析に関わる専用のコンピューター、研究成果発表のための国内・国際学会の参加費及び論文出版に関わる費用にあてる。
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