研究課題/領域番号 |
17K15743
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大坪 徹也 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (80551796)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 医療経済学 |
研究実績の概要 |
本研究は、医療機関間の競争や連携に関する市場メカニズムについて、疾患の特異性や病院を取り巻く地域性を考慮して、データにもとづく実証を行うものである。2017年度は、文献レビュー等を通じた、競争や連携に関する指標の整理およびそれらとの関連について検討されてきた医療の質や経営の質に関する指標の整理を行った。医療機関に関する競争や連携に関する研究は、医学系論文誌に限らず、経済学系論文誌においても多くの研究成果が報告されていた。これまで特に英国では、医療の効率性の向上を実現することを意図した医療機関間の競争を導入することへの政策評価の一環として、競争の医療の質に対する効果についても1990年代以降に検証されてきた。多数の実証研究がなされてきたものの、同一国においてさえ結論の一貫性はみられなかった。一方で、比較的容易に可視化され共有されてきた待機時間に関しては、競争による短縮効果が多くの研究で認められた。こうした知見を含めて、本研究に関する仮説を練成した。また上記文献レビューに限らず、地域医療連携に関与する医療職者へのインタビューを実施し、わが国の競争や連携について実務面からの知見を得た。 2018年度は、実データを用いて実証を行なうにあたって、オープンデータをはじめ、様々なデータが一般公開されてきているため、非公開データに加え、それらを分析に利用するための整理を含めた環境作りを進めてきた。また、患者の個票データを研究利用するための諸手続きを進め、許諾を得ることができた。次年度は、公表方法を検討しながら、分析作業を引き続き進め、研究成果をまとめることとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
医療の質や経営の質に関する指標の整理を行った。データベース分析基盤を含む分析環境の整備については、データの研究利用許可を含め遂行してきた。
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今後の研究の推進方策 |
研究機関の最終年度として、これまで構築してきた分析環境を活用し、データを用いた実証分析を進める。また、学術会議への報告やHPを含めた一般公開を含め、公表に向けても検討を重ねる。
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次年度使用額が生じた理由 |
質問紙調査によるデータの取得を検討してきたが、オープンデータによる代替を含めて改めて計画を見直すこととした。オープンデータを用いる場合であっても、収集や整理等に費用を要することが想定される。なお、本研究の実施において中核となるデータの利用目途はたったため、この計画見直しが研究の進捗に与える影響は少ない。
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