令和1年度は、以下の項目について研究を実施した。 1.効用値を得るためのアルゴリズム改良について:平成29~30年度に実施した研究者がアクセス可能なコホートデータの中の特定健診に係る項目に追加して、経済状況など社会経済因子に関する情報・独居や婚姻の状況などをも加えたモデル構築を実施した。また、モデルの作成についても、機械学習に基づくモデル(ランダムフォレストモデル・ニューラルネットワークモデル)をも実施し、推定能の改善を目指した。 2.さらには、効用値を算出する方法として、SF-36の項目を用いて効用値を算出する尺度SF-6Dに基づく効用値を用いるだけではなく、EQ-5D-5Lの項目を含めた新たな質問票調査を実施した。この新たな質問票調査を行うことで、複数のインデックス型尺度に基づく効用値の算出が可能となった。 3.なお、上記の新規質問票調査には、特定健診で測定されている問診項目も含めた。これにより、先行するコホートデータと組みわせることで、derivationデータで得られた推定式に対して、external validationを実施した。 4.新規調査で特筆すべきこととして、これまで十分な効用値の測定が困難であった疾患領域に関する効用値を詳細に調査したことが挙げられる。具体的には皮膚疾患を対象として、上記のインデックス尺度によって得られた効用値と、自身の健康状態に関するself-TTO(Time trade off法;composite TTOに基づく)とを比較し、その乖離の程度について多面的に検討を行った。
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