研究課題/領域番号 |
17K15745
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
和足 孝之 島根大学, 医学部, 助教 (00792037)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 診断エラー / 医療訴訟 / 認知バイアスの解析 / 誤診 / 見逃し |
研究実績の概要 |
初年度は医療裁判データーベース(WestLaw Japan)の解析に弁護士資格をもつ医学生含む4名のチームでデータ収集を行なった。難解な判例からのデータ抽出は予想以上に 時間がかかったが、既に全22万件の掲載全裁判データから2000件の該当医療判例を抽出するのに成功し、そのうち7割近くの抽出は終了しており概ね順調である。医療訴訟に至った医療事故・過誤の基本情報(患者基本情報、主訴、医療行為、医療エラー種類:システムエラー・診断エラー、初期診断、最終診断、病院規模、医籍登録年、専門医の有無、医師の専門科、判決、支払い認容額、一般外来・救急外来・入院別 等)を抽出しており、医師の診断エラーに起因するものとそれ以外に区分し比較を行うことで、診断エラーによる医療過誤・事故の特性や背景要因の相違を明らかにする。また研究代表者の単著として医師の診断プロセスにおけるピットフォールと認知心理学的な分野との融合を行った診断エラー学の教科書を2019年4月に中外医学出版社より発刊する事がすでに決定している。これにより、未診断のプライマリケアのセッテイングでは8-15%とも言われる医師の診断エラー率の改善と、それによる医療経済的な損失の改善、医療安全の改善に貢献することを狙っている。また研究代表者と指導者との間で自らの診断エラーの考察をQJMやBMJ Case reportという国際雑誌に投稿してすでに多数アクセプトされている。なお、研究代表者が現在指導を仰いでいるHarvard大学医学部のK. Chirtopherとの日米比較との共同研究を開始する予定にまで漕ぎ着ける事ができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は医療裁判データベース(WestLaw Japan)の解析に弁護士資格をもつ医学生含む4名のチームで収集を行なった。難解な判例からのデータ抽出は予想以上に 時間がかかったが、既に全22万件の掲載全裁判データから2000件の該当医療判例を抽出するのに成功し、そのうち7割近くの抽出は終了しており概ね順調である。医療訴訟に至った医療事故・過誤の基本情報(患者基本情報、主訴、医療行為、医療エラー種類:システムエラー・診断エラー、初期診断、最終診断、病院規模、医籍登録年、専門医の有無、医師の専門科、判決、支払い認容額、一般外来・救急外来・入院別 等)を抽出しており、医師の診断エラーに起因するものとそれ以外に区分し比較を行うことで、診断エラーによる医療過誤・事故の特性や背景要因の相違を明らかにする。H30年度に予定している医師の診断エラーに対する匿名アンケートに関しては、研究協力として日経メディカル社を選定する事ができ、現在アンケート項目の作成とWebページの作成中である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は下記の6つの展望を考慮している。1) 医療訴訟データーベースを用いた解析の着手(9月より)2)医療訴訟における医師の診断エラーの要因の解析、3)同テーマの発表 4)医師の診断エラー学の単著の出版、5)医師の診断エラーに関するアンケート調査の実施、6)同解析と報告。
|