研究実績の概要 |
2017年11月から2018年11月にかけて愛媛大学医学部附属病院睡眠医療センターを初診した6歳以上65歳未満の患者109名(男63人、女46人、初診時の平均年齢35.5歳)に対して質問票調査および Psychomotor Vigilance Task (PVT)検査を実施した。診断確定・治療開始から3か月以上経過してから、当センターに通院を続けていた49人(男30人、女19人、初診時の平均年齢39.8歳)に対して再度同様の調査を実施した。対象者においてエプワース眠気尺度は有意に改善(平均 -1.35点、P = 0.043)し、ピッツバーグ睡眠質問票のスコアも有意に改善し(平均 -1.65点、P < 0.001)、「睡眠に関連した自覚症状は特にない」と答える者の割合は有意に増大していた(P < 0.001)。PVTではラプス回数 (SQR(Lapses)+SQR(Lapses+1))の有意な改善が見られた(P = 0.02)。ただしSF-8質問票にて測定した健康関連QOLに関しては、身体的健康と精神的健康、いずれにも有意な改善は認められなかった。ベースラインと治療後の両方の時期に就労していた24人(男17人、女7人、平均年齢46歳)に関してWork Limitation Questionnaire 日本語版で測定したプレゼンティーイズムはいずれもベースラインと比較して有意に改善していた(時間管理: P = 0.01, 身体活動 : P= 0.01, 集中力・対人関係: P = 0.008、 仕事の結果: P = 0.002)。 以上より、専門医療機関に通院を続けた睡眠障害患者において、睡眠障害の程度および自覚的・客観的な眠気は改善し、プレゼンティーイズムも改善することが認められた。睡眠障害の治療は、就労中の生産性を高めることに寄与している可能性が示唆された。
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