研究実績の概要 |
コホートを組むために必要な情報を得るため、予備的調査として緩和ケアチームが介入した進行がん患者の終末期の経過について診療録レヴューを行った。2014年4月-2016年3月の期間中、近畿大学医学部附属病院に入院し緩和ケアチームが介入した進行がん患者についてチームへの依頼理由および実際の対応内容について背景因子と共にデータを抽出。依頼理由と対応内容と共に頻度や一致率、関連要因について解析を行った。 過去の2年間に介入を行った症例のデータベースを元に解析を行った結果、介入時に抗がん剤治療を受けている患者は35%であった。抗がん剤治療が中止されている患者は59%であった。緩和ケアチームが介入した患者のおよそ60%において疼痛をみとめ、何らかの介入を行っていた。その他、家族サポートや意思決定支援についても介入したケースを多く認めたが、緩和ケアチームへの依頼理由として挙げられる頻度は低く、緩和ケアチームへの依頼理由と実際に介入した項目に解離が認められることが明らかとなった。精神症状や、医療者サポート、家族サポート、意思決定支援等については、依頼理由にはないが介入が行われる傾向を認めた。一方、倦怠感と抑うつは依頼理由にはあるが、介入は行われない傾向を認めた。 全体的に、依頼理由にない内容についても介入を行う傾向をみとめた。精神症状は依頼時に見逃されている可能性が考えられた。せん妄は先行研究にあるように見逃されている可能性が考えられた。医療者サポートや家族サポート,、意思決定支援等については、必要性について医師の認識不足が指摘されており、当院においても同様の理由が考えられるかもしれない。
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