医療介護現場で働く人の安全・健康向上を目的に、物理化学的環境から作業方法等の改善まで包括的な視点で現場の労使が主体的に取り組む「職場改善活動」を基に、本研究では以下の2点を明らかにすることを目的とし進めてきた。 ① 医療・介護現場を中心に日本の職場で実施されてきた、労使主体の「職場改善活動」の共通点を文献やヒアリング調査から抽出し、現場に根付く職場改善活動の必須要素を明らかにする ②①の成果を基に、医療・介護分野での職場改善の導入や継続を支援するためのツールとして、職場改善活動の導入や継続に課題を抱える現場の労使が活用できるチェックリストを開発する 平成29年度は現場の良好事例を収集すると共に労使主体の「職場改善」の共通点を整理し、現場に根付く職場改善の必須要素を抽出した。平成30年度は医療・介護現場で実際に職場改善を進めていくツール(案)およびプログラム(案)を作成し医療・介護事業場を中心にパイロット研修を実施した。令和元年は前年度に実施したパイロット研修の結果を基に、ツールおよびプログラムの完成を目的とした。研修ツールとして、4領域(「保管・移動と仕事のしやすさ」、「機器の安全と緊急時の備え」、「作業場の環境と感染予防」、「情報の共有と相互支援」)24項目からなるアクションチェックリストをはじめとしたツールを作成した。併せて、良好事例収集の過程から確認された医療機関での産業保健活動の特徴について論文を発表した。令和2年度~4年度は職場規模や新型コロナウイルス感染症下での職場改善について着目し、ヒアリングなどを通じて事例を収集し、ツールを再編集・完成させた。
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