研究実績の概要 |
脂肪組織由来間葉系幹細胞(AdSC)移植とスタチン製剤を併用し、ブレオマイシン誘発強皮症(BLM-SSc)モデルマウスにおいて機能的な抗炎症・抗線維化作用を検討し た。 シンバスタチンPLGAナノ粒子抱合AdSC(SimNP-AdSC)は、50ug/50000細胞のシンバスタチン濃度において、AdSCの遊走能を最も促進し、有意差を持ってAdSCの生存率を向上させた。SimNP-AdSCはAdSC単独と比較して、抗炎症に作用する液性因子である、TGF-β1, HGF, HOX-1, ILRNの遺伝子発現が亢進していた。 次に、Balb/cマウスにBLMを持注することで作成したBLM-SScマウスに対する移植実験を行った。AdSCはBLM持注終了後(day 7)に尾静脈より単回投与した。治療群は以下の様に設定した:1) コントロール (BLM-SSc単独), 2) NP-AdSC (細胞数25000) 3)SimNP-AdSCs (細胞数25000)移植群。BLM開始4週間後に皮膚組織を評価したところ、コントロールと比較して、SimNP-AdSC移植群で炎症細胞(Tリンパ球、マクロファージ、好中球)の浸潤と皮膚の線維化が有意に抑制されていた。皮膚組織における炎症性サイトカイン(IL-4, IFN-γ, TNF-α)と線維化因子(COL1A1, TIMP)の遺伝子発現は、コントロールと比較して、SimNP-AdSC移植群で有意に抑制されていた。 以上の結果より、SimNPは、AdSCの細胞の機能を高め、SScモデルマウスに対する治療効果を増強させる効果があることを示した。得られた結果は、2019年度欧州リウマチ学会で発表を予定している。
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