研究実績の概要 |
マウス皮下脂肪から分離した脂肪組織由来間葉系幹細胞(AdSCs)をブレオマイシンで誘発した強皮症マウスモデルに経静脈的に投与しその効果を検討した。実験群は、正常マウス群、疾患群(PBS投与群:コントロール群)、AdSCs投与群を設定した。AdSCsは、ブレオマイシン開始1週間後に10000個を尾静脈から単回投与した。その結果、AdSCs投与群はコントロール群と比較して有意に皮膚の炎症と線維化を抑制した。 次に、シンバスタチンPLGAナノ粒子をAdSCsに抱合してその細胞機能を評価した。シンバスタチンPLGAナノ粒子は、AdSCsの遊走能、生存能を促進し、AdSCsが合成する抗炎症と抗線維化に働く因子(HGF, HOX-1, ILRN)の遺伝子合成を促進した。シンバスタチンPLGAナノ粒子抱合AdSCs (SimNP-AdSCs)の治療効果を確認するin vivoの実験を行った。各投与群のAdSCsは、ブレオマイシン開始1週間後に10000個を尾静脈から単回投与した。治療群は、1. SimNP-AdSCs投与群, 2. AdSCs投与群, 3. 疾患群(コントトール)。SimNP-AdSCs投与群は、細胞単独投与群と比較して、強皮症モデルマウスの皮膚の炎症と線維化を有意に抑制した。強皮症の肺病変である間質性肺炎を想定して、BLM誘発間質性肺炎マウスモデルにも同様のSimNP-AdSCs投与実験を行い、SimNP-AdSCsの抗炎症及び抗線維化効果を確認した。 以上の結果は、2019年度の日本再生医療学会総会で1演題を、ヨーロッパリウマチ学会(EULAR)で2演題を発表した。
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