研究実績の概要 |
ビタミンDは骨代謝や免疫調節に関連した様々な作用を持ち、その不足は乳幼児の骨疾患だけでなく、成人の免疫性疾患、悪性腫瘍などのリスクとも関連するため、代謝物を含めた精確な定量が必要である。ビタミンD代謝物は分子構造によってその生物学的活性が大きく異なり、代謝動態の正確な評価には精密定量法の構築が不可欠である。本研究ではビタミンD代謝物の精確な定量の為に、LC/MS/MS による高精度ビタミンD 代謝物分析法を構築することを目的とする。加えて、ビタミンD代謝や生物学的活性にはビタミンD結合蛋白質、ビタミンD受容体、各種水酸化酵素などの遺伝子多型も密接に関与している為、これらビタミンD代謝関連遺伝子の遺伝子多型解析を含めた包括的なビタミンD代謝動態の把握を目指す。 本年度は、 3つのビタミンD代謝物[25(OH)D、24,25(OH)2D、1,25(OH)2D]をImmunoextractionにより抽出することで同時に測定できないか検討した。これまで、これらの代謝物は血液中の存在量などが大きく異なるために別々に分析されていたが、LC/MS/MSによって同時に測定できれば少ない検体量で多くの情報を得ることが可能である。20件程度の検体を用いて検討した結果、25(OH)D、24,25(OH)2Dは従来法(Supported-liquid extraction)と良好な相関性を示した。この内容について、第59回日本臨床化学会年次学術集会(2019年9月27-29日、仙台市)において発表した。
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