研究課題
指定難病疾患である肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、BMPR2遺伝子異常が発症の一因となることが知られているが、この異常を有する患者は、特発性PAH患者の25%程度と限られている。即ち、PAHの過半では原因を特定出来ていない。そのため、根本的な発症概念は確立されておらず、肺動脈肥厚に至る分子機構は不明で、治療方法も確立していない。研究代表者らのチームは、2009年から多施設共同体制によってPAH患者の検体収集を行い、現在までに約400検体と、日本最大数のサンプルバンクを構築している。このサンプルバンクを用いて、未解明のPAH発症原因遺伝子の同定を目標に、BMPR2遺伝子異常を有しない患者検体を用いて全エクソーム解析を実施し、BMPR2遺伝子とは異なる新規の発症原因遺伝子を見出した。さらに、研究者チームが保有するサンプルバンクを用いて、これら有力候補遺伝子に関して臨床情報との相関解析、患者における変異頻度の解明、を実施し臨床的意義を精査した。また、ヒト肺血管細胞を用いて候補遺伝子の発現調整によるin vitro実験、遺伝子改変マウスを用いたin vivo実験を実施中である。
すべて 2020
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J Heart Lung Transplant
巻: 39 ページ: 103-112
10.1016/j.healun.2019.08.022.