研究課題
遺伝性血管性浮腫I型・II型は常染色体優性遺伝であるが、その発症頻度は5万人に1人とされる難病であり、病態の多くは未解明である。特に、同患者の血液検査にて補体系の異常を呈す以外に線溶系・凝固系の異常をきたすことが報告されており、これらの病態を解明することが難病である本疾患全体の病態解明につながると考えられる。そこで、遺伝性血管性浮腫患者の発作時あるいは非発作時に採取した計31の血液検体を用いて、各補体系マーカー・線溶系マーカー・凝固系マーカー(C1-INH活性、C3、C4、CH50、PT秒、PT%、PT-INR、ヘパプラスチンテスト、プラスミノーゲン、アンチプラスミンAT3活性、FDP定量、フィブリンモノマー複合体定量、Dダイマー、PIC、TAT3複合体PTフラグメントF1+2、プロテインC活性、プロテインS活性、トロンボモジュリン、Ca、凝固F7、凝固F11、凝固F12、tPA、PAI-1複合体フィブリノゲン、APTT、WBC、RBC、Hb、Ht、PLT)を測定した。このうち、遺伝性血管性浮腫I型・II型に特徴的なC1-INH活性、C4、CH50は有意な低下を示した。また、これ以外のマーカーについても上昇あるいは低下の有意な変化をきたしており、線溶系マーカーの亢進など、これまでの既報告のデータと比較検討しながら、年齢や性別、発作初発年齢との関連、発作頻度との関連、発作時あるいは非発作時との関連、同一遺伝子を有する家族性との関連、発作部位との関連、同一患者での発作時と非発作時のデータ比較、健常者とのデータの比較などの臨床データを解析中であり、これらの解析がなされた後は、直ちに論文化を進め、広く社会に公表する予定である。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Juntendo Medical Journal
巻: 65 ページ: 77-84
https://doi.org/10.14789/jmj.2019.65.JMJ18-OA08