研究課題
1. KMOKOマウスにB16F10腫瘍細胞を尾静脈投与し、肺転移モデルを作製したところ、野生型マウスと比較して有意に肺/体重比が減少していることを明らかにした。そこで、KMOKOマウスと野生型マウスの肺臓中トリプトファン代謝産物を測定したところ、。KMOKOマウスでは、野生型マウスと比較して、有意にキヌレニン、キヌレン酸およびアントラニール酸が増加していた。一方で、3-ヒドロキシキヌレニン、3-ヒドロキシアントラニール酸が有意に減少していた。すなわち、高キヌレニン血症のマウスであっても、抗腫瘍効果を失うことはなかった。従来、キヌレニンは細胞障害性T細胞の抑制や制御性T細胞の誘導を介した腫瘍免疫を制御していると考えられていたが、本研究において、少なくともがん微小環境のキヌレニンレベルの増加は腫瘍免疫の制御に関与しないと考えられた。2.同様に、LLC細胞を尾静脈投与したところ、野生型マウスと比較してKMOKOマウスでは、有意に肺/体重比が減少していた。すなわち、KMO欠損による、腫瘍抑制効果は普遍的に様々な種類のがんに対して効果があると推察された。3.肺転移モデルに加えて、皮下投与モデルにおける効果についても調査したところ、KMOKOで有意に腫瘍を抑制した。すなわち、肺臓に限定的な現象ではなく、複数の臓器においても同様の効果が期待された。4.トリプトファン代謝産物と腫瘍増殖の関係を明らかにするために、腫瘍移入KMOKOマウスに各種キヌレニン代謝産物(3-ヒドロキシキヌレニン、3-ヒドロキシアントラニール酸、キサンツレン酸、キノリン酸)を連日腹腔内投与した。興味深いことに、3-ヒドロキシキヌレニンおよびキサンツレン酸投与KMOKOマウスでは、腫瘍抑制効果が無効化されていた。5.ヒト肺腺癌の検体を中心に、KMO、KAT等の免疫染色を実施し、腫瘍や一部の免疫細胞での発現を確認した。
すべて 2020 2019
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