研究課題
自己多血小板血漿(PRP)は血小板に含まれる様々なanabolic factorを血液から分離することで得られる。一般のクリニックでも遠心機さえあれば施行できるほど簡便であることが最大の利点である。また自己血漿のみしか使用しないことから安全であり、倫理的な問題点もないことも知られている。その効果としてはPRP自身がgrowth factorのカクテルであるため細胞増殖、組織修復、抗炎症作用など様々な効果が報告されている。その利点と効用から膝関節症の分野においても、現在多く日本で施行されているヒアルロン酸の関節内注射よりも疼痛改善や日常生活動作(ADL)の改善につながることが報告されている。しかし臨床的に一定の効果が認められている一方で、基礎的な分野における機序の解明は未だ多くが不明である。その原因としては先ほど利点であると述べた簡便さがゆえに、臨床応用がされてしまい基礎的なメカニズムの解明が遅れてしまっていることがあげられる。我々は過去に投与するMIAの濃度を変化させることで滑膜の急性炎症と消退が観察されるモデルと、時間とともに滑膜の線維化と関節軟骨の退行変性の進行が観察される慢性炎症モデルの実験条件の確立を行った。さらに行動学的解析(von Frey Hair Test, Hot Plate Test、Incapacitance Test)との相関を解析した。このMIAモデルラットに対してPRPの関節内注射を行い、疼痛抑制に対する多角的な評価とそのメカニズムを解明することが本研究の目的である。当該年度においてはPRPの精製並びに、MIAモデルラットに関節内注射を行い、疼痛緩和作用が確認できた。組織学的には関節炎の改善効果を認めており、抗炎症作用による鎮痛効果が示唆された。
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BMC Musculoskeletal Disorders
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