研究課題/領域番号 |
17K15792
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
善積 克 東北医科薬科大学, 薬学部, 講師 (70553379)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 膀胱痛症候群 / 間質性膀胱炎 / 過活動膀胱 / 鎮痛薬 |
研究実績の概要 |
膀胱や周囲の骨盤部に痛みを生じる間質性膀胱炎は、膀胱痛症候群と定義され、頻尿や尿意切迫感などの過活動膀胱症状も呈する。本研究は、間質性膀胱炎モデルを作製し、膀胱の病理学所見と膀胱関連痛や頻尿の双方に対する治療戦略の提案を目的とする。本モデルは、ラットの膀胱内にリポポリサッカライド(LPS)を注入し作製した。平成30年度に得られた結果は以下の通りである。 1)本モデルにおいて、膀胱組織に炎症性細胞である好中球・マクロファージの浸潤がみられ、肥満細胞の増加や組織の線維化が確認できた。 2)膀胱関連痛は、尿道周囲にvon Freyフィラメントによる機械刺激を加え検討した結果、LPS投与1日目から疼痛閾値の低下がみられた。この疼痛閾値の低下は、LPSの単回投与では4日目以降から徐々に回復がみられたが、LPSの繰り返し投与により数週間にわたって閾値の低下が長期に持続することが確認できた。 3)排尿機能は、膀胱内圧測定により、本モデルにおいて排尿間隔の短縮と排尿圧の低下が確認できた。 以上の結果、LPS投与により膀胱関連痛や頻尿を伴う間質性膀胱炎を想定したモデルが作製でき、LPSの繰り返し投与により慢性化に移行することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に検討していたプロタミン硫酸塩投与による膀胱炎モデルよりも比較的簡便な方法で作製できる慢性膀胱炎モデルが確立できたため、現在、本モデルによる膀胱関連痛や頻尿の双方に対する鎮痛薬の検討を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
間質性膀胱炎は頻尿や尿意切迫感といった排尿障害だけでなく、膀胱周囲に痛みを伴う難治性の慢性膀胱炎であるため、膀胱関連痛や頻尿の双方に効果のある治療戦略が求められる。今後は、すでに安全性が確認されている既存する鎮痛薬の中から膀胱関連痛に対する鎮痛効果だけでなく、排尿機能を改善する治療薬を模索する。 さらに治療効果が得られた治療薬は、計画通り中枢性の局所投与により機序の解明に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が当初の予定より順調に進んだため、実験動物費、試薬・消耗品費が節約できたことと、研究成果を国際・国内学会で発表するための出張費に充てるため、次年度は繰り越し分と合わせて、研究費を主に実験動物費、試薬・消耗品費と学会発表の出張費に使用する。
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