研究課題/領域番号 |
17K15796
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
細川 翔太 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (20790554)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | PET/CT / FDG / 画質評価 / 核医学 |
研究実績の概要 |
近年、より高精度な定量が求められるようになったPET/CT検査の標準化に役立つ画質評価指標が求められている。本邦における画質評価ではカウントデータから算出される雑音等価計数(NEC)や画像再構成後のPET画像における肝臓の信号雑音比(SNR)が広く用いられている。NECは視覚評価との相関が高く信頼性の高い指標であると考えられるが、NECはカウントの量に着目しており画像再構成の影響を考慮していない。読影医が実際に読む画像は再構成後のPET画像であるため、再構成前後における画質評価が必要であると考えられる。肝SNRは再構成後の画質評価指標として重要であるが、評価者によって値が変動し再現性に欠ける。また、肝臓のみから算出された値が全身を表現しているとは限らない。 本研究の目的は現時点で多用されている再構成後の画質評価指標である肝SNRの代わりとして、全身評価が可能で、手間のかからない画質評価指標を開発することである。 本年度は臨床画像を使用するための倫理委員会への手続きを行い、使用する臨床データの収集を行った。画質評価指標を探索するに当たり、複数画像に対し短時間で複数の処理が可能なプログラム言語(Python)の習得に時間を費やした。様々な条件下における画質評価基準を試行錯誤し、一定の結果が得られる基準を決定し、学会発表を行った。現段階では肝臓のSNRよりも視覚評価との相関が低く、更なる検討が必要と考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書では平成29年度の計画として1.新しい画質評価指標を提案する、2.臨床画像の視覚評価との比較により画質指標の有用性を示すという2つを挙げた。具体的には①を達成するためにA.生理的に集積する部位の除去、B.CT値による組成分けとカウントデータの抽出が必要であった。プログラミング言語Pythonを用いることにより、短時間にAおよびBを達成可能なコードを書くことができ、様々な条件下における画質評価が可能であった。結果として、1および2を達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では評価者に依存しない再現性の高い指標が得られているが、肝臓のSNRに比べて多少、視覚評価との相関が劣る。さらに条件を変え検討し精度を高める必要がある。そのためには、現在PETで広く用いられているSUVをピクセル値として用いているが除脂肪体重で規格化したSULを用いること、評価範囲を適切な範囲に分割、または絞ることが必要と考える。十分に最適化した後には全ての評価者が容易に使用できるようにプログラム化(ImageJのプラグインなど)をする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗度のために海外での学会発表ができなかったことが原因であると考えられる。今後は成果発表を含め、情報収集に努めるよう積極的に海外学会へ参加する予定である。
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