研究課題
本研究の目的は、ホウ素中性子補足療法 (BNCT) において、病巣の形態や重要臓器との位置関係を考慮し、患者個別に中性子ビームを最適変調することで、正常組織の被ばく線量を低減可能にする、中性子ビーム制御フィルタシステムを開発することである。本年度 (令和元年度) の研究計画は、前年度 (平成30年度) に引き続き、ハイドロゲル材料の組成を調節した場合の中性子減衰効率の評価、及び任意形状のフィルタを実際に3Dプリント可能であるか評価し、本プロジェクト全般の総括をすることである。本年度 (令和元年度) 我々は、ハイドロゲル材料の組成を調節した場合のフィルタの中性子減衰効率の変化を、金線および熱ルミネッセンス線量計を用いた実測、及びモンテカルロシミュレーションにより詳細に評価した。フィルタにより中性子ビームの強度及びエネルギーを変調可能であることを明らかとした。特にフィルタ厚がそれらの変調に大きく寄与することが示された。一方、フィルタ挿入によりガンマ線量が条件によって1.0から1.8倍程度増加することが確認された。加えて、任意形状のフィルタを実際に3Dプリントし、予定通りの形状が再現されたハイドロゲルフィルタが造形可能であることを確認した。最終確認に用いた形状は、円柱を基本とし位置によって階段状に凹凸をつけたモデルである。以上の成果を踏まえ、我々が開発した3Dプリントに対応した中性子ビーム制御フィルタシステムにより、中性子ビームの変調制御が可能となった。本研究成果は、最終的にBNCTの治療効果向上と有害事象低減に貢献するものであると考えられる。
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