研究課題
2年目までは患者の呼吸波形のログファイルを用いたサイバーナイフの追尾精度検証および患者の腫瘍の動きと胸壁の位相のずれの影響の評価方法を開発した。また小照射野の線量測定精度について多施設評価を行った。3年目は実際の患者の呼吸波形を用いて三次元的に動体ファントムを動かし、より長時間に渡って追尾精度を評価する検討を行った。これにより、腫瘍に投与される線量をより詳細に解析することが可能になった。現在論文化の準備中である。またサイバーナイフを用いたIMRT様照射技術のシミュレーションをおこない、線量分布を改善できる可能性を示した。この成果は現在論文投稿中である。さらに定位放射線治療で重要となるアイソセンターの精度について、多施設の評価を行った。同一機種でも施設によってカウチの回転精度が異なり、各施設において許容範囲やマージン設定を適切に行う必要があることが示された。この成果は国際論文に採択された。また小照射野の測定精度も正確な定位放射線治療にとても重要である。最新機種であるTrueBeamについて多施設のビームデータ比較を行い、検出器の選択が大きく影響していることを示した。また2019年に登場した新しいダイオード検出器の小照射野計測特性を評価した。これらについても国際論文に採択された。深層学習を用いた仮想CTの作成について2年目から取り組んでおり、MRI画像から作成した仮想CTにより十分な精度で線量計算可能なことを示した。MRI上で精度の高い標的の同定をおこない放射線治療が可能になると期待される。また同じ技術を用いて造影CT画像から仮想非造影画像を作成する技術も開発し、患者の被曝を低減させつつ精度の高い線量計算が可能となる技術を開発した。これらも国際論文に採択された。
2: おおむね順調に進展している
動体追尾照射の機械的な精度検証技術の開発、およびその追尾精度が放射線治療の線量分布に及ぼす影響を評価する技術開発まで完成した。実際の患者の治療データを用いて三次元動体ファントムを駆動させ、追尾照射を行いその追尾精度を評価した。当初予定していた技術の開発および臨床例を用いた評価まで順調に進んでいる。ただし現在論文作成の準備中であり、論文による学術雑誌での報告のみ遅れている状況である。また正確に定位放射線治療を行うにあたり重要となる小照射野の線量計測精度についても多施設で評価を行い、さらに最近になって登場した新しいダイオード検出器の小照射野計測精度についても評価を行い論文に掲載された。このダイオード検出器については電子線計測の評価も行っており、現在論文投稿中である。またプラスチックシンチレータ検出器についても小照射野計測の評価を行い、学会発表を行った。その成果についても現在論文作成中である。以上より、予定されていた技術開発や評価はすでに終了し、論文作成を残すのみである。
予定されていた技術開発や評価はすでに終了している。今後は学会発表、および論文を通した研究成果の報告を順次進めていく予定である。
現在投稿中、および作成中の論文があり、オープンアクセス費用、英文校正費用が発生するため、研究期間を1年延長し、次年度使用額で成果報告を行う予定である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)
Journal of Radiation Research
巻: 61 ページ: 410~418
10.1093/jrr/rraa010
Medical Physics
巻: 47 ページ: 371-379
10.1002/mp.13925
Journal of Applied Clinical Medical Physics
巻: 21 ページ: 36-42
10.1002/acm2.12766
巻: 21 ページ: 78-87
10.1002/acm2.12791
巻: 61 ページ: 92-103
10.1093/jrr/rrz063
巻: 61 ページ: 307-313
10.1093/jrr/rrz082
巻: 46 ページ: 3757-3766
10.1002/mp.13523
巻: 20 ページ: 74-83
10.1002/acm2.12715
Physica Medica
巻: 64 ページ: 182-187
10.1016/j.ejmp.2019.07.009