画像誘導放射線治療と6軸補正による照合方法では患者体位の捻じれの補正は困難であり、体表面へのマーキングとレーザーシステムによる照合や主に被ばくを伴うX線画像によって得られた情報を基に補正が行われている。またその補正方法として高速かつ高精度なシステムは確立していない。本研究の目的は現行の画像誘導放射線治療と6軸補正による照合方法では解消できない残余誤差を効率的に最小化するためのフレキシブルな位置照合システムの開発である。開発要素は体軸の回旋・進展状態と残余誤差の評価システム、およびフレキシブルな患者体位の補正システムである。胸腹部領域の20症例を対象として放射線治療装置に付属するコーンビームCT(CBCT)で得られた治療直前のCT画像と治療計画時のCT画像から照合の残余誤差を解析した。また椎体を指標とした体軸の回旋・進展状態と、放射線の照射領域内での残余誤差を評価した。臨床現場ではCBCTを撮影する前に1回から複数回の2方向X線画像を基に体位を補正しており、本研究ではこの照合過程の短縮、簡略化も目的に含まれているため、この照合過程についても今後検討に含めていく。デプスカメラによる体表面モニタリング機能についてはTOF方式とアクティブステレオ方式のカメラでそれぞれ開発を試みた。また固定器具の試作にあたっては既製の器具を応用するため、固定器具による放射線の吸収や、接する体表面線量への影響などを評価した。
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