研究実績の概要 |
平成29年度は多層検出器CTによる冠動脈プラーク性状解析する際の最適プロトコールの検討を行った。まず、心臓・冠動脈動態ファントムを用いて最適な撮影条件を検証した。様々な種類のプラークを模した冠動脈狭窄ファントムに濃度の異なる造影剤を充填し、管電圧(kVp)や管電流(mA)などの撮影パラメータを変化させながら心電図同期スキャンを行い、さらに動態ファントムを使用して心拍数を5段階(50-, 60-, 70-, 80-, 90-,100bpm)に変化させて撮影を行った。低管電圧、低管電流の設定では画質劣化を来たし、十分なmulti-energy解析ができないことが明らかとなった。また、高心拍下(70bpm以上)の撮影ではモーションアーチファクトによる解析精度の低下も影響してくることが分かった。よって、多層検出器CTによる冠動脈プラーク性状解析を行うにあたっては、電圧を120kVpでCTDIvolを25-30mGy程度に設定するのが妥当だと考えられた。 続いて被験者因子が冠動脈プラーク性状解析に与える影響について検証を行い、被験者の体格、心拍数、冠動脈造影効果がmulti-energy解析の結果に影響することが分かった。体格に応じた管電流変調機能の使用とβ-ブロッカーによる心拍数コントロール、および造影剤注入法の調整により、精度と再現性の高い解析が可能となった。 今後は脆弱性プラークをmulti-energy解析で見いだすための定量的評価法について検討を進める予定である。
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