研究課題/領域番号 |
17K15808
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
亀澤 秀美 帝京大学, 福岡医療技術学部, 助教 (50759503)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 予後予測 / Radiomics / 医学物理学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、公開データベースに蓄積されている頭頸部がん患者の症例画像および臨床データ、放射線治療法、放射線治療後の予後情報などのビッグデータを利用し、症例画像の特徴量とこれらの情報を結び付け深層学習を行うことで、予後予測可能な革新的放射線治療支援システムを開発することである。 平成29年度は公開データベースにある頭頸部がん症例画像や臨床データ、予後情報などを取得し、画像解析用コンピュータ内にデータベースの構築を行った。また、1症例画像から486個の特徴量を計算できるプログラムを作成した。 さらに、機械学習の手法の一つである人工ニューラルネットワークに基づき、扁平上皮肺がん症例のコンピュータ断層撮影(CT)画像から計算された画像特徴量において2年生存率に関連性の高い特徴量を選択した。選択した特徴量を利用し、同じがん組織型(扁平上皮形)を有する頭頸部がんの2年生存率予測の可能性について研究を行った。ウェーブレット変換により処理された画像における均一性の中央値により扁平上皮頭頸部がん患者を2群間に層別化し、各群の生存曲線をカプランマイヤー法により作成、その後ログランク検定により統計的な解析を行った。その結果、2群間には統計的な有意差が認められた。このことから、未知の扁平上皮頭頸部がん症例画像においてウェーブレット変換により処理された画像の均一性を本研究で得られた中央値と比較することで2年生存率の予測が可能となると考えられる。なお、本研究結果はSPIE Medical Imagingにおいて発表を行った。 CT画像を用いた類似研究において、画像取得条件の違いが結果に影響を及ぼしたとの報告もあるため、次年度はCT画像取得条件の違いによる影響が少ない特徴量の解明も検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人工ニューラルネットワークに基づき、扁平上皮肺がん症例CT画像から計算された画像特徴量において2年生存率に関連性の高い特徴量を選択し、その特徴量を利用することで、同じがん組織型を有する扁平上皮頭頸部がんの2年生存率予測の可能性が示唆された。よって本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、データベースに新たな症例データ等を追加し、症例データの充実化やCT撮影条件が特徴量に及ぼす影響の調査、頭頸部がん症例の各グループにおいて深層学習を利用した予後予測の可能性の検討を行う予定である。
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