研究課題
本研究の目的は、頭頸部がん患者の症例を利用し、画像特徴量と臨床データ、放射線治療法、放射線治療後の予後情報を結び付け深層学習を行うことで、予後予測可能な革新的放射線治療支援システムを開発することである。2017年度は「扁平上皮頭頸部癌の2年生存率を予測する手法」を開発した。CT画像のみから扁平上皮癌の2年生存率を予測でき、生存率の悪い症例については、新たな治療法支援に活用できると考える。2018年度は「耳下腺癌の悪性度予測」を実施した。耳下腺癌は穿刺細胞診にて悪性度を判定するがその判定精度にはばらつきがあることが知られており、九州大学病院における穿刺吸引細胞診での精度は74%である。手術前の磁気共鳴(MR)画像と主要な5種の機械学習手法を用い、耳下腺癌の悪性度を推定した。人工ニューラルネットワークを用いた手法では83.3%という高精度が得られた。2019年度は前年度の内容を継続し、「さまざまな深層学習手法を用いた耳下腺癌の悪性度推定における精度向上」を試みた。事前学習済みの深層学習モデルとして、AlexNet、GoogLeNet、VGG-16、ResNet-101、DenseNet-201を使用した。悪性度予測精度はそれぞれ、84.4%、84.9%、85.4%、84.9%、84.4%であり、全ての深層学習手法で従来の穿刺吸引細胞診の精度(74%)を超えた。特に、VGG-16を用いた予測精度は、85.4%と深層学習手法の中で最も高く、VGG-16を用いた手法は高い精度で予測出来ることが明らかとなった。なお、本研究結果はAAPM2019やSPIE2020の国際学会において発表した。頭頸部癌の一部の癌に対してではあるが、2年生存率や悪性度推定を可能とする手法が開発され、それぞれに適した治療法を支援できるシステムを開発することが出来た。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
Proc. SPIE 11318, Medical Imaging 2020: Imaging Informatics for Healthcare, Research, and Applications, 1131818
巻: 11318 ページ: 1131818-1-5
10.1117/12.2549462