研究実績の概要 |
平成29年度は、「細胞外タウリン濃度の量的変化と放射線による細胞損傷の緩和につながるタウリントランスポーター発現の量的変化」を明らかにすべく、マウスを用いて病理組織学的分析を行った。 実験群はコントロール, 7Gy照射群, 7Gy照射+タウリン3000mg/Kg投与群, 4.5Gy照射群, 4.5Gy照射+タウリン3000mg/Kg投与群, 照射群, 4.5Gy照射+タウリン1500mg/Kg投与群とした。タウリンは放射線全身暴露後に毎日研究終了まで投与した。生存率と小腸組織中のタウリン局在及びタウリントランスポーター発現を病理組織学的手法により、細胞外タウリン濃度との関連を組織学的に比較し解析を行った。 生存率に有意な変化は認められなかった。コントロールに比較し、7Gy照射によりタウリン局在及びタウリントランスポーター発現は低下した。4.5Gy照射によってもタウリン局在及びタウリントランスポーター発現は低下したが、タウリン1500mg/Kg投与により発現低下が抑制された。 タウリン1500mg/Kg投与は、4.5Gy照射によるタウリン局在及びタウリントランスポーター発現の低下を抑制した。タウリン3000mg/Kgではタウリン局在及びタウリントランスポーター発現の低下を抑制していないことから最適なタウリン濃度が存在する可能性が考えられる。タウリンは、タウリントランスポーターを介して細胞に取り込まれ臓器損傷に対して回復効果を有していることから、タウリントランスポーター発現の維持が放射線による細胞損傷を調節するカギとなることが示唆された。この研究結果は5/20日より開催されるINTAM21(中国)にて発表する予定である。
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