研究課題/領域番号 |
17K15811
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
早乙女 直也 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 病院, 研究員(任常) (20737001)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 重粒子 / 治療計画 / 線源データ / スキャニング / シンチレータ / CCDカメラ / QA / 炭素線治療 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、放射線治療で用いられる治療計画用パラメータ(ビームモデル)決定を効率的に行う装置・アルゴリズムの開発である。従来、水中の線量分布を電離箱で多数回測定を行うことで得られていた三次元的な線量分布(ビームデータ)を、一度の測定に置き換え、更にそのビームデータから直接的にビームモデルを作り出すこと目標としている。そのために、提案測定装置は水に近い組成のシンチレータとCCDカメラを組み合わせ、シンチレータ内で発光した分布を3方向から測定することを特徴としている。 本研究では、ビームデータ取得のための仕様検討、装置設計、装置開発、アルゴリズム開発、ビーム試験、経年劣化の評価を行っていく。これまでに、治療計画で用いられるビームデータの使われ方や先行研究を調査し、要求仕様を見積もった。その要求仕様から装置設計を行った。 これまでの検討の結果、要求される装置の仕様としては、位置分解能が0.2mm程度、発光量の測定ダイナミックレンジは3桁程度、測定系に歪みが無いこともしくは補正ができること、治療現場で用いることを考慮し使いやすいデザインであることである。これらの条件を元に測定器で用いるシンチレータ、CCDカメラの選定を行い、適切な候補を見つけることができた。装置の設置精度を確認する手法として、シンチレータの代わりに治具を設置し、アライメントや歪みの確認を行う方法を検討している。 装置設計と並行して、ビームモデル作成アルゴリズムの開発を行った。測定対象のビームは二次元のガウス分布として考えることができるが、シンチレータ内の発光分布をビーム進行方向に垂直面に射影した分布を測定することになるため、測定系に求められるダイナミックレンジは三次元分布測定で求められる4桁より小さくなることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
測定系に歪みが無いこともしくは補正ができること、治療現場で用いることを考慮し使いやすいデザインであることをコンセプトとして装置の設計を行っているが、当初の計画からやや遅れている。一般的には、使いやすいデザインと歪みが無いことは相反する要求であり、革新的なアイディアを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
現在検討中である装置の設計は、測定系に歪みが無いこともしくは補正ができること、治療現場で用いることを考慮し使いやすいデザインであることのバランスをとって行い、迅速に測定装置の開発・ビーム試験に移行する。その後、測定したデータに対し、検討したビームモデル作成アルゴリズムを適用させ、測定装置およびアルゴリズムの評価をしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画から進捗がやや遅れており、測定器の設計が終わらず、29年度中に装置開発・製作に取り掛かることができなかったため。
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