研究課題
当院の臨床症例から線量データを出力するシステムを構築した。本システムによって以下実績を残した。当院の臨床症例の線量データベースを用いてIII期肺がんの障害発生率・腫瘍制御率を計算して、通常分割と比較した場合の優位性について評価した。III期肺がんにおいて通常分割を用いた線量増加試験は失敗に終わったが、本研究によって腫瘍のRepopulationの影響を抑え、かつ、正常組織の回復を促すHypofractionationが有用であることが計算で推測された。本結果については2017年米国放射線腫瘍学会・2017年日本放射線腫瘍学会にて報告した。現在作成した論文について投稿中である。前立腺がんのVMATにおける5施設の400症例以上の臓器線量を分析した。それぞれの施設で臓器とターゲットが重なる範囲の大きさが臓器線量と強い関係があることを発見した。また施設それぞれで臓器線量が大きく異なり、本邦における線量標準化の問題について浮き彫りとなった。本結果については2018年日本医学物理学会・2018年World congress on medical physics & biomedical engineeringにて発表する予定である。また、Radiation Oncologyに論文がアクセプトされた。乳腺接線照射における心臓線量を計算するモデル式を線量データベースから構築した。本モデルは通常の照射野内の心臓の距離からの計算する手法よりも正確に計算が可能であり、乳腺照射患者の過去のデータから正確な線量を計算できる可能性を示す。本結果についてはBritish journal Radiologyに投稿中である。
2: おおむね順調に進展している
臨床データと線量データの統合データベースの作成については順調に実行中であり、上記の内容について線量分析を行い、実績を積んだ。ただし、腫瘍情報のデータベースについては構築が遅れている。腫瘍情報を電子カルテやCTワークステーションから取り込む必要があるが、それらの情報の出力について遅れている。
・線量データと有害事象などのクリニカルデータの紐づけを行うプログラムを構築する。・CT画像から腫瘍情報を取り込むデータベースを作成する。
システム構築が遅れたため、パソコン・ソフトウェアの購入が30年度にずれ込んだ。その他、発表や英文校正に使用する予定である。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)
Radiation Oncology
巻: 13 ページ: 1-11
10.1186/s13014-018-0994-1