研究課題
2030年に350万人の発病数と推定される心不全の半数以上を占める左室駆出率が保たれた心不全(heart failure with preserved ejection fraction:HFpEF)は予後不良とされるが、HFpEFの病態理解は不十分で、世界的に診断基準は統一されておらず、有効な治療戦略は確立されていない。本研究の目的は第二次東北慢性心不全登録観察研究(Chronic Heart failure and Registry in the Tohoku district-2;CHART-2)と米国の研究と比較し、HFpEF症例を比較し、HFpEF症例背景・予後・予後危険因子を解析し、1.日本人HFpEF症例の病態を把握し予後改善を目指した治療戦略を探索すること、2.将来のHFpEFに対する国際及び国内臨床研究の基礎となるHFpEFの特徴に関する情報を提供することである。平成29年度は各研究の登録時データを用いてHFpEF症例の左室構造に着目して比較を行った。NYHA機能分類Ⅱ度以上の有症状の心不全かつ左室駆出率が50%以上のCHART-2研究に登録されたHFpEF 2,335例(平均年齢71歳・女性39%)のLV geometryをAmerican Society of Echocardiogaphyのガイドラインに従って分類した。45%はconcentric hypertrophyであり、26%がeccentric hypertrophy、16%がconcentric remodelingであった。注目すべき点として15%はLV geometryが正常であった。TOPCAT研究ではconcentric remodelingが27%、concentric hypertrophyが26%、eccentric hypertrophyが16%であり、14%は正常であった。一方でI-preservedから報告では心不全と診断されていても、登録症例46%が左室構造がnormalと分類されており、HFpEFの左室リモデリングからの多様性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
平成29年度は患者登録時データを用いてHFpEF症例の各研究毎で比較検討が行うことができ、当初の研究計画に従って進んでいるため。
研究計画に従って、今後は日米両方のデータを用いて、予後の比較と予後危険因子に関して比較検討を行っていき、有効な治療戦略の確立を目指していく。
参加学会が近隣開催が多かったため、当初見込より旅費執行を削減することができたため。次年度は、海外学会および国内学会での発表を複数回予定しており、繰り越し分と併せて執行する予定である。
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