研究課題
心不全の半数以上を左室駆出率が保たれた心不全(heart failure with preserved ejection fraction:HFpEF)が占める。本研究の目的は第二次東北慢性心不全登録観察研究(Chronic Heart failure and Registry in the Tohoku district-2;CHART-2)と米国におけるHFpEF症例を比較し、HFpEF症例背景・予後・予後危険因子を解析し、1.日本人HFpEF症例の病態を把握し予後改善を目指した治療戦略を探索すること、2.将来のHFpEFに対する国際及び国内臨床研究の基礎となるHFpEFの特徴に関する情報を提供することである。HFpEF症例の左室構造に着目して比較を行うと、NYHA機能分類Ⅱ度以上の有症状の心不全かつ左室駆出率が50%以上のCHART-2研究に登録されたHFpEF 2,335例(平均年齢71歳・女性39%)のLV geometryをTOPCATと比較すると45%はconcentric hypertrophyであり、26%がeccentric hypertrophy、16%がconcentric remodelingであった。TOPCAT研究では順に27%、26%、16%であり、疾患の多様性が示唆された。死因としては、全死亡における非心血管死の割合が、収縮能の低下した心不全と比較して多いことが分かった。CHART-2研究において、HFpEFの全死亡の予後予測因子は年齢(高齢)、アルブミン、貧血、BMI、BNP、BUNであり、これら危険因子を組み合わせてリスクスコアを作成した。TOPCAT研究にスコアを当てはめるとc-index 0.652と良好であり、米国のHFpEFの危険因子は日本と類似していることが分かった。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
International Journal of Cardiology
巻: 284 ページ: 42-49
10.1016/j.ijcard.2018.10.076.