研究課題/領域番号 |
17K15824
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大嶋 康義 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90621657)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 内科 / 医療・福祉 / 臨床 |
研究実績の概要 |
高二酸化炭素血症を伴う呼吸不全患者に対し、非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)で換気補助を行うことで在宅で必要な医療が受けられ、患者の日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)の向上を図ることができる。しかし、慢性期の導入ではほとんどの症例でNPPV離脱困難であり、大きな課題である。 2012年に抗ミトコンドリア抗体陽性の炎症性筋疾患という疾患概念が初めて報告され、重篤な呼吸筋障害によりNPPVを必要とするが、治療で改善する例が多いとされる。 申請者は適切な診断と治療により、NPPVの離脱が可能であり、予備研究にて慢性呼吸不全の原因として抗ミトコンドリア抗体が多くの症例で影響している可能性を報告した。 NPPVの離脱が可能な疾患である抗ミトコンドリア抗体陽性の炎症性筋疾患が慢性呼吸不全患者の中でどの程度いるのか明らかにするため、新潟大学医歯学総合病院、新潟県内の関連医療機関による多施設共同研究を実施する。すでにNPPVを使用して慢性呼吸不全患者や、将来NPPV導入が危惧される低換気による高二酸化炭素血症、肺活量低下症例を対象に、抗ミトコンドリア抗体の測定を71例に実施した。抗ミトコンドリア抗体陽性例は有意に肺活量の低下を認めた。さらに調査を継続し、最終的に慢性呼吸不全に対する抗ミトコンドリア抗体の陽性率を横断的調査により明らかにするとともに、NPPVの離脱数、導入数、回避数、高二酸化炭素血症、肺活量の推移について縦断的に解析し、慢性呼吸不全と抗ミトコンドリア抗体の関係を明らかにすることで、NPPVの離脱・回避への貢献していく方針である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NPPVの離脱が可能な疾患である抗ミトコンドリア抗体陽性の炎症性筋疾患が慢性呼吸不全患者の中でどの程度いるのか明らかにするため、新潟大学医歯学総合病院、、魚沼基幹病院、西新潟中央病院、新潟臨港病院、新潟市民病院、新潟医療センター、佐渡総合病院、長岡赤十字病院、立川綜合病院、長岡中央綜合病院、新潟県立中央病院、上越総合病院、あがの市民病院、済生会新潟病院、南部郷総合病院、新潟県立松代病院にて多施設共同研究を実施中である。すでにNPPVを使用して慢性呼吸不全患者 33例、将来NPPV導入が危惧される低換気による高二酸化炭素血症、肺活量低下症例に対しては38例を組み込み、中間解析を行っている。COVID-19の影響で新規登録症例は滞っているが、現時点でも解析可能であり、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
NPPVの離脱が可能な疾患である抗ミトコンドリア抗体陽性の炎症性筋疾患が慢性呼吸不全患者の中でどの程度いるのか明らかにするため、新潟大学医歯学総合病院、新潟県内の関連医療機関である魚沼基幹病院、西新潟中央病院、新潟臨港病院、佐渡総合病院、あがの市民病院、済生会新潟第二病院、南部郷総合病院、新潟市民病院、新潟医療センター、長岡赤十字病院、立川綜合病院、長岡中央綜合病院、新潟県立中央病院、上越総合病院、新潟県立松代病院による多施設共同研究を継続する。平成29-令和2年度に調査を行った症例の追跡調査を行うとともに、新規に対象となる症例の調査を行う。COVID-19の影響はあるが、蓄積した症例において解析を行い、その成果を社会に積極的に発信していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
多施設共同研究の協力医療機関は順調に増えているが、倫理審査や研究体制の確立に時間を要しており、情報共有のために必要な設備備品費の使用の遅れが生じている。また、本研究の中心となる抗ミトコンドリア抗体などの自己抗体検査において、臨床上必要な検査として実施されたデータをオプトアウトにて本研究に組み込まれる症例が想定より多く、次年度使用が生じている。一方で、当初の想定より多くの多施設共同研究の推進できており、その分多くの使用、ならびに順調な計画進展を見込んでいる。
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