研究課題
全国には12500例もの高二酸化炭素血症,慢性Ⅱ型呼吸不全により非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)で治療中の症例がいる.2012年に,従来知られてきた自己抗体陽性の炎症性筋疾患とは異なる特徴を有する,抗ミトコンドリア抗体陽性の炎症性筋疾患が初めて報告された.呼吸器疾患症例において,NPPVの回避や離脱の可能性のある抗ミトコンドリア抗体関連炎症性筋疾患の有病率や抗ミトコンドリア抗体の陽性率はわかっておらず,陽性率を明らかにするとともに,呼吸器疾患のある高二酸化炭素血症患者では抗ミトコンドリア抗体の陽性率が高いのかを調査するために,新潟大学医歯学総合病院呼吸器・感染症内科を通院し,2013年9月から2019年12月の間に保存血清を採血された症例の中で,動脈血液ガス検査,呼吸機能検査をともに評価可能な症例について,抗ミトコンドリアM2抗体を測定し,検討を行った.解析対象者は294名おり,治療としては酸素療法65名,NPPV 17名,ステロイド治療49名であった.呼吸器疾患症例における抗ミトコンドリアM2抗体陽性例は13名,陽性率は4.4%であり,特に高二酸化炭素血症患者では抗ミトコンドリアM2抗体陽性例は54名中6名,陽性率は11.1%と高かった. また,睡眠時無呼吸症候群患者でも陽性例が多かった.高二酸化炭素血症や睡眠関連低換気症例のなかに抗ミトコンドリア抗体関連炎症性筋疾患が潜在しやすい可能性が示唆されており,NPPVの回避や離脱に貢献できる可能性が示唆された.
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
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