研究課題
全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ)へ提出された、21府県(宮城、山形、福島、茨城、栃木、群馬、神奈川、福井、山梨、愛知、滋賀、大阪、広島、長崎、千葉、新潟、鳥取、島根、岡山、愛媛、熊本)の地域がん登録資料より、2006年から2008年に診断された大腸がん患者における結腸部位別、各進行度別における5年相対生存率を検討した。62,350名が解析対象であった。結腸がん部位別の5年net生存率は、右側結腸74.0%、左側結腸70.4%であった。性、年齢、進行度を調整したExcess Hazard Ratios(EHRs)と95%信頼区間を算出した。左結腸がんと比べ、右結腸がんのEHRsは、1.20(95%信頼区間1.16-1.25)であった。年齢階級別では、それぞれ、40歳未満1.09(0.84-1.43)、40-54歳1.32(1.18-1.48)、55-70歳1.15(1.08-1.21)、70歳以上1.26(1.19-1.33)であった。進行度別では、それぞれ限局0.74(0.60-90)、領域1.25(1.17-1.34)、遠隔転移1.20(1.15-1.25)であった。右結腸がんの生存率は、左結腸がんと比べ、有意に低いことを明らかとした。結腸部位の違いが、生存率に影響を及ぼす可能性を示唆した。進行度限局では、右側結腸の方が生存率が高いことが明らかとなった。これは、大腸がんの遺伝子変異分布が進行度で異なることを反映すると推測された。既に論文は完成しており、英文雑誌に投稿済みである。
3: やや遅れている
がん登録資料を用いた大腸がんの部位別生存率の研究に関しては、計画通りに進んでいる。論文は既に完成しており、英文雑誌へ投稿済みである。平成30・31年度計画では、愛知県がんセンターのHERPACCデータベースの大腸がん症例について、EGFR遺伝子多型とがん予後との関連を評価、又、FU製剤治療症例を対象とし、葉酸摂取量、葉酸代謝関連MTHFR遺伝子多型と大腸がん予後の関連を評価する計画を立てていた。しかし、研究代表者が愛知県がんセンターから名古屋市立大学へ異動し、研究対象者の変更に伴い、研究計画の変更を行った。J-MICC岡崎研究の対象者において、引き続き葉酸代謝に関連したMTHFR遺伝子多型等を測定し、今後大腸がん症例の予後との関連を評価する準備を進めている。現在、がん登録より大腸がん情報の把握に務め、データ整理を行っている。遺伝子多型測定の実施準備を進めている。
平成31年度は、がん登録より大腸がん情報の把握に務める。J-MICC岡崎研究の対象者において、葉酸代謝関連の遺伝子多型の測定を実施する予定である。大腸がんの進行度別に、葉酸代謝関連の遺伝子多型と大腸がん予後との関連を検討する。
J-MICC対象者について、葉酸代謝に関連する遺伝子多型の測定を行う予定であったが、データ整理と測定準備に時間を要した。次年度に遺伝子多型の測定を実施予定である。
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Carcinogenesis.
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10.1093/carcin/bgz016