研究課題/領域番号 |
17K15840
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
中川 弘子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (70738608)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | がん登録 / がん5年生存率 / 腫瘍部位別 / 大腸がん |
研究実績の概要 |
全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ)へ提出された、21府県(宮城、山形、福島、茨城、栃木、群馬、神奈川、福井、山梨、愛知、滋賀、大阪、広島、長崎、千葉、新潟、鳥取、島根、岡山、愛媛、熊本)の地域がん登録資料より、2006年から2008年に診断された大腸がん患者における結腸部位別、各進行度別における5年相対生存率を算出した。62,350名を解析対象とした。結腸がん部位別の5年net生存率は、右側結腸74.0%、左側結腸70.4%でした。性、年齢、進行度を調整したExcess Hazard Ratios(EHRs)と95%信頼区間を算出した。左結腸がんと比べ、右結腸がんのEHRsは、1.20(95%信頼区間1.16-1.25)であった。年齢階級別では、40歳未満1.09(0.84-1.43)、40-54歳1.32(1.18-1.48)、55-70歳1.15(1.08-1.21)、70歳以上1.26(1.19-1.33)であった。進行度別では、限局0.74(0.60-90)、領域1.25(1.17-1.34)、遠隔転移1.20(1.15-1.25)であった。右結腸がんの生存率は、左結腸がんと比べ、有意に低いことが明らかとなった。結腸部位の違いが、生存率に影響を及ぼす可能性を示唆した。進行度限局では、右側結腸の方が生存率が高いことが明らかとなった。これは、大腸がんの遺伝子変異分布が進行度で異なることを反映すると推測された。論文は英文雑誌より出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
がん登録資料を用いた大腸がんの部位別生存率の研究に関しては、計画通りに進んでいる。論文は既に英文雑誌より出版されている。平成30・31度計画では、愛知県がんセンターのHERPACCデータベースの大腸がん症例について、EGFR遺伝子多型とがん予後との関連を評価、又、FU製剤治療症例を対象とし、葉酸摂取量、葉酸代謝関連MTHFR遺伝子多型と大腸がん予後の関連を評価する計画を立てていた。しかし、研究代表者が愛知県がんセンターから名古屋市立大学へ異動し、研究対象者の変更に伴い、研究計画の変更を行った。J-MICC岡崎研究の対象者において、引き続き葉酸代謝に関連したMTHFR遺伝子多型等を測定し、今後大腸がん症例の予後との関連を評価する準備を進めている。現在、遺伝子多型測定の実施準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、がん登録より大腸がん情報の把握に務める。大腸がん部位や進行度の情報も取得する。J-MICC岡崎研究の対象者において、葉酸代謝関連の遺伝子多型の測定を実施する予定である。大腸がん部位及び進行度別に、葉酸代謝関連の遺伝子多型と大腸がん予後との関連を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
J-MICC対象者について、葉酸代謝に関連する遺伝子多型の測定を行う予定であったが、データ整理と論文執筆に時間を要した。また育児休業により研究が中断した。
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