研究課題
研究目的:がんの記述疫学研究において、罹患・死亡の経時変動分析に変化係数モデルを用いる方法がある。変化係数モデルでは、経時変動を定量的に評価するために、その要因に特定構造を仮定している。しかし、部位によってはこの仮定が成り立たない場合や、経時変動だけの分析では正しく変動を捉えきれない場合がある。本研究は変化係数モデルの経時変動要因の構造の一般化と地域性や社会経済格差等の非経時変動要因の導入による、柔軟な解析法の開発を目的とする。本研究の成果により例えば『○○県○市の年収△万~□万の××年生まれの男性喫煙者の肝臓がん死亡リスクはその他の集団に比べて○○倍である』といったハイリスク集団の特定を行うことができ、 効果的ながん対策の立案・評価に貢献できると考える。研究計画・方法:既存の変化係数モデルの手法では出生コホート効果に特定の構造を仮定することでその効果を検出している。本研究においてはまず、上記の構造仮定以外による出生コホート効果分析手法について検討する。また同時に、地理的要因や社会経済的要因などの経時要因以外の要因の導入可能性についても研究を行う。理論構築との同時進行で、実データによる解析結果と疫学的知見の比較検討により妥当性の検証を行い、その結果を統計数理モデルの洗練に反映させる。本成果を用いることにより様々な要因の分析が可能となり、ハイリスク集団の特定等が柔軟に行えると期待される。さらに、モデルに分析した要因を組み込んだ将来予測についても検討し、がん対策推進基本計画における設定目標の確認や将来における効果的な対策の立案に貢献する。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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