研究実績の概要 |
【背景と目的】かかりつけ医機能の健康影響を分析するにあたって、一般集団がどの程度かかりつけ医を持っているか、かかりつけ医に期待するニーズが何であるかが明らかでない。よって、これを明らかにすることを目的にした。 【具体的内容(方法)】平成29年度、宮城県登米市民に対してアンケート調査を実施した。調査対象者は、2017 年1 月時点で登米市在住20-64歳の住民42,741 人(男22,094 人、女性20,647人)から、ランダムに抽出した男女5,000 人に調査票を送付した。質問項目は、回答者の基本属性(性別・年齢・教育歴・就業・世帯収入)、地域の医療の充足感についての認識、かかりつけ医の有無であった。 【具体的内容(結果)】登米市全体としては、有効回答は1,996 人であり、回収率は39.9%(男性37.2%、女性42.9%)であった。年代別では、50-60代の回収率が20%台と高かった。教育歴では、半数以上が12年以下であった。また、約8割の回答者が現在就労していた。世帯年収別では、300-500万円の者が最も多かった。このような対象集団において、かかりつけの病院・診療所がある者は全体で73.8%であった。また、そのかかりつけの病院・診療所の所在地は登米市内で60.6%、市外が39.4%であった。さらに、登米市内の医師の充足度に対して、全体の73.3%が「とても不足している」「どちらかといえば不足している」と回答した。不足している診療科として産婦人科医・小児科医を挙げた者は、それぞれ約半数であった。 【意義・重要性】我々の知る限りでは、日本の一地方において、一般住民がかかりつけ医を持つ割合とニーズについて初めて知ることができた。教育歴が相対的に低い集団において、かかりつけ医を持っている割合は70%超であり、経済社会的状況がかかりつけ医の有無に関連していることが示唆された。
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