研究課題/領域番号 |
17K15850
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
蒲澤 佳子 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (70529726)
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研究期間 (年度) |
2018-02-28 – 2022-03-31
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キーワード | 慢性腎臓病 / コホート研究 / 生活習慣 |
研究実績の概要 |
本研究は、慢性腎臓病(CKD)の生活習慣関連リスク要因を前向きコホート研究を用いて検討することを目的としている。具体的には、CKDと生活習慣関連要因の関係性を検討すること(スタディ1)、CKDと生活習慣、関連マーカーの相互関連を検討すること(スタディ2)が含まれる。2019年度は特に以下について行った。 スタディ1: 魚沼コホート研究の5年後アンケート調査を行い、その中でCKDの自己申告による罹患状況を調査した。その結果、CKDの有効回答30497件中、医師からCKDと①「いわれたことがない」は28,822名、②「5年以上前にCKDといわれた」は813名、③「最近5年間でいわれた」は862名であった。2019年度は地域住民や地域の保健行政職員、医療関係者にむけて、本研究の結果報告を行った。具体的には、コホート年報(2020/3送付)、南魚沼市(2019/10/8)、魚沼市(10/1)、湯沢町(8/20)役場職員への報告会、魚沼医療学校への報告(11/20)、南魚沼生活習慣病研修会(12/21)への報告を行った。 スタディ②:魚沼コホート研究の保存検体を用いて、血清と尿検体の尿酸や電解質の6400検体の測定を完了し、データセット作成した。南魚沼市の対象者の5年間の健診データを授受した。 ベースラインアンケートと健診情報の両方ある対象者において、微量アルブミン尿と生活習慣、尿ナトリウム/カリウム比(Na/K)との関連性の検討を行っている。本研究は2018年度食事性酸負荷と微量アルブミン尿の関連性を明らかにし、とくにその中で食事からのK摂取量の重要性を示唆してきたが、尿Na/K比の分析においても、尿Kに注目している。また、湯沢コホート研究の健診対象者において、シスタチンCとクレアチニンによる推定糸球体ろ過量それぞれと握力との関連性の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定である保存検体の測定を完了し、魚沼コホート調査の5年目アンケート調査は順調に完了した(魚沼コホート全体の5年後有効回答数81.3%)。診療録や健診データによる自己申告CKDの確認を進めることができている。まず、ベースライン健診結果と5年目アンケート調査の両方のある方(N=6023)について、5年目調査でベースライン調査時点でCKDではなかった方(CKDと「最近5年間でいわれた」または「いわれたことがない」と自己申告した方)で、ベースライン健診でCKDではなかった人 (尿蛋白陰性または±、かつ推定糸球体ろ過量 60以上)は約83%であった。診療録確認については、2012年度ベースライン調査対象者1090名まで終了時点では5年間(2013-2017年まで)のCKDを診療録で確認ができた方は369名であった。なお、もともと最終年度に予定していた地域への研究成果報告の講演活動を、すでに複数の成果が出ているため、2019年度にも地域への講演活動を行えた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、スタディ1は、アンケートによる自己申告CKDを診療録または健診結果によってその妥当性の確認をさらに進める。自己申告CKDの妥当性がとれれば、それを用い、ベースラインデータや5年目アンケート情報との縦断分析を進める。スタディ2は、魚沼市の5年間の健診データ授受を進める。また、生活習慣病関連マーカーと生活習慣の横断解析のとりまとめ、縦断分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は地元住民や地域の行政・医療関係者への成果報告を中心に行ったため、旅費は特にかからなかった。保存検体の測定数が同意状況の変更により当初の予定数から減った形となった。研究成果の論文投稿が年度をまたぐ形となり、その英文校閲料などの経費は繰り越した。
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