研究課題/領域番号 |
17K15851
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
馬場 幸子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90532987)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Women, Working / Maternal Behavior / Health Behavior / Smoking / Punishment |
研究実績の概要 |
日本人を対象とした就労母親についての先行研究は、特定の一地域を対象とした小~中規模の研究が多く、数万人規模の一般集団を対象とした大規模な疫学研究による知見は限られている。 本研究は、母親の就労・家族構成が自身と子の健康に与える影響と修飾要因について、日本人の大規模一般集団を対象とした疫学研究と、母親の就業率、家族構成(特にひとり親の割合やその経済的支援)が異なる英国における同様の大規模コホートを用いた疫学研究による日英比較研究である。 今年度は、主に日本の大規模データを用いた研究を行った。対象は、2001年及び2010年の特定の期間に出産した女性約85,000名である。 1)母親の就労形態及び就労時間を暴露変数とし、母親の健康指標として喫煙を結果変数として、多変量ロジスティック解析を行い、オッズ比と95%信頼区間を算出した。その結果、専業主婦と比較し、求職中無職・内職・パート・自営の就労母親と喫煙との間に正の関連を、常勤の就労母親と喫煙との間に負の関連を認めた。また、母親の労働時間が増えるほど母親の喫煙率が高くなった。 2)母親の就労形態及び就労時間を暴露変数とし、子どもへの養育行動(子どもへの体罰)を結果変数として、多変量ロジスティック解析を行い、オッズ比と95%信頼区間を算出した。その結果、専業主婦と比較し、就労母親と子どもへの体罰に負の関連を認めた。また、母親の労働時間と子どもへの体罰との間にはゆるやかな負の関連を認めたが、一定の労働時間を超えると有意ではないが正の関連を認める傾向にあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本の大規模データを用いた研究については、学会発表予定及び論文発表の準備を行っており、おおむね順調に進展しているといえる。一方で、英国の大規模データを用いた研究についても開始予定であったが、データ使用申請の承諾は得られたものの個別研究の準備段階であるため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き日本の大規模データを用いた研究について、現在進行中の個別研究について学会発表や論文発表の準備を継続する。また今年度開始予定の個別研究についても解析を開始する。また、英国の大規模データを用いた研究についても個別研究の準備を進め、実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 平成29年度に行う予定であった外国での研究打ち合わせを実行することができなかったため。 (使用計画) 論文掲載費の必要な国際学術雑誌に原著論文を投稿予定のため、掲載費用として使用予定である。
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